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もう少し南十字星の話し [ブラジル雑学]

  昨日は懐メロの話しから始まって、南十字星(サザンクロス)の話しで終わりました。

ぜんぜ~ん関連性のない話しで、せっかくご訪問して読んでくださった方には申し訳ありませんでしたが、以前にはこのような内容で書くことはなかったのですが、最近はちょくちょくこんな関連性のない話題を書いているようです(まるで他人事みたいですね[たらーっ(汗)])   


ブラジル国旗の中心には星空と星座が描かれている
Brazil_flag_stars.jpeg


さて、南十字星について書いた中で、ブラジルの国旗にもそれが入っていると説明しましたが、


ブラジル国旗の星空をあらわす中心部分には米国の星条旗のように、ブラジルの全26州と首都がある連邦直轄区(ブラジリア)の数だけの星(27個)があります。

実は、これらの星はそれぞれ星座をあらわしており、南十字星をふくめて次のようになっています。

    1.こいぬ座のプロキオン
    2.おおいぬ座。大きく描かれているのはシリウス
    3.りゅうこつ座のカノープス
    4.おとめ座のスピカ
    5.うみへび座
    6.南十字星
    7.はちぶんぎ座σ星
    8.みなみのさんかく座
    9.さそり座。大きく描かれているのはアンタレス

                                  (Wikipediaより引用)


  そして、南半球の星空でもっとも重要な南十字星を構成している4つの州は、ミナス・ジェライス、サンパウロ、バイア、リオ・デ・ジャネイロ、それにエスピリト・サントの4つの州なのです。

これは、これらの4州がブラジル経済の中で占める重要性ゆえに南十字星にそれぞれ名誉ある位置をさずけられたものです。ちなみに、バイアは1500年にブラジルがポルトガル船団によって発見された時に初めて上陸した場所であり、最初の首都が設置された歴史的に重要な州です。
ミナス州はその昔、金やダイヤなどの宝石がたくさん採れたところであり、宗主国ポルトガルの財政を大いにうるおわせた州です。サンパウロは昔は綿やコーヒー、現在は工業、農業でブラジル経済に欠かせない重要な州ですし、リオデジャネイロはブラジル独立時に首都だった州で独立後も1960年にブラジリアに移転するまで首都でした。エスピリトサント州についてはあまりよくわかっていませんが、きっと昔は重要な州だったのでしょう。

cruzeiro.jpg


   現在のブラジルの国旗は1889年の11月19日、つまり王政から共和国制度に変わったあと(同年11月15日)に制定されたものです。

現在のブラジル国旗(1992年5月11日制定)
Bandeira Brasil.png


ちなみに、緑色と黄色はそれぞれブラジル皇帝であるペドロ1世のブラガンサ家とその皇妃マリア・レオポルディナのハプスブルク家を象徴していたそうですが、現在では公式ではありませんが、緑色は森林を、黄色は金と鉱物資源を象徴していると解釈されています。
そして円にある星空は共和制度が樹立された日(1889年11月15日)の朝(8時30分)のリオデジャネイロの星空を表していいます。円内の27個の星はそれぞれブラジル全26州と1連邦直轄区(ブラジリア)を表していることは先に述べましたが、そのため米国国旗のように州が増える度に星の数も増えるようになっています。ただし、米国の国旗と異なる点としては、それぞれの星が象徴する州が厳格に定められている点が挙げられ、例えば円の下部に描かれた一番小さな星は南極星でブラジリアを表しています。

参考までに現在の国旗に決定されるまでの国旗モデルを見てみると…


 1888年のモデル    1890年のモデル   1890年のモデル    1892年のモデル
120px-Flag_of_Brazil_(Ribeiro_project).svg.png 120px-Flag_of_Brazil_(Jardim_project).svg.png 120px-Flag_of_Brazil_(Paranhos_project).svg.png 120px-Flag_of_Brazil_(Valadão_project).svg.png

 1908年のモデル     1908年のモデル
120px-Flag_of_Brazil_(Góis_project).svg.png  120px-Flag_of_Brazil_(Escobar_project).svg.png


なかなか興味深い意匠の国旗モデルですが、1892年あたりから現れ始めるモデル以前に黒と白と赤が多く使われているのは、ブラジル国民は白人(白色=ポルトガル人)、ブラジル先住民(赤色=インディオ)それに黒人(黒色=アフリカ系、奴隷として連れてこられた)の3人種で構成されているため、これらのカラーを使うべきという思想があったからなのでそうです。

そして1892年あたりから現在の国旗に近い意匠のものが現れはじめて、1908年には星空を横切る白い帯以外はまったく同じものが考案されていました。なお、1888年モデルはのちにサンパウロ州の州旗に採用され現在にいたっています。

なお、この星空を横切る白帯には「秩序と進歩」というポルトガル語の文字が緑色で記されていますが、これはフランス人の実証主義者オーギュスト・コンテの言葉からとったもので原文(フランス語)は"L'amour pour principe et l'ordre pour base; le progrès pour but"となっています。

ポルトガル語では"Amor por princípio e a Ordem por base; o Progresso por fim"、Lobyの拙訳では「愛を始めとし、秩序を基本として; 進歩を終わりとする」となります。
これから見ると、当時のブラジル政界・インテリ層にはかなり実証主義者がいたことがわかりますね。

あれれ…
南十字星の話しからいつの間にかブラジル国旗の話しになっちゃいましたね[たらーっ(汗)]


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コメント 8

y-tanaka

ブラジル国旗の星、こんな意味が有るとは知りませんでした。
by y-tanaka (2010-09-28 05:29) 

etu

国旗についても南十字星についても
星座にしても…詳しい事は何も知らない。。。
良い勉強になります☆
by etu (2010-09-28 09:51) 

駅員3

ブラジル国旗の由来は勉強になりました[ぴかぴか(新しい)]
by 駅員3 (2010-09-28 22:17) 

Loby

≫y-tanakaさん、私も勉強になりました^^b

≫etuさん、こうして皆さんにご紹介することで私も勉強になります^^

≫駅員3さん、これほど奥が深いとは私も知りませんでした^^

≫cerulean_blueさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫カオリンさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫okin-02さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫enosanさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫akaharaさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。


by Loby (2010-09-29 01:02) 

青い鳥

国旗のデザインの変遷も、星に州を当てはめて
重要度を位置づけしていることも興味深く読ませて頂きました。
調べて見るものですね。
知らない事が沢山出てきそうです。

by 青い鳥 (2010-09-30 18:26) 

北海道大好き人間

ブラジルの国旗の由来は何となく聞いたことがありますが、これほど奥が深いとは思いませんでした。
なお、南半球では、オリオン座やさそり座は勿論、月の見え方も北半球とは逆になると聞いていますが、実際にそうなのでしょうか?

南半球から撮影した星空の画像(シャッターを開放して線になってしまっても構いません)があるといいのですが。
by 北海道大好き人間 (2010-10-02 21:53) 

Loby

≫青い鳥さん、ブログをすることでさらに色々なことが勉強できます。
趣味のブログもこうなればかなり重宝なものになります^^b

≫北海道大好き人間さん、月やほかの星座の見え方も北半球と同じです。ただし、南半球で月を見る時は、北に向かって立っている事が多いので、右が東、左が西になります。

南半球から撮影した星空の写真ですか?
ちょっと探してみますね。

≫モッズパンツさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。


by Loby (2010-10-03 05:42) 

あんず-M

ブラジルの国旗にそのような深い意味があるとは。。。勉強になりました。^^南半球の星座は日本からは見えないんですよね。ブラジルは日本の正反対に位置していますから、見える星が全く違うのでしょうか。
by あんず-M (2010-10-12 22:30) 

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