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若い人たち [日記]

 最近、Lobyは、高校の先生か大学の先生にでもなったような気持ちでします。



というのは、Lobyが教えている日本語学校の生徒たちの中から、



今年は三人の若者が就職できたからです。



その三人の中の二人に、Lobyは日本語の履歴書を書いてあげました。



というのは、彼らは日系企業に入社することを希望していたわけですが、ポルトガル語の履歴書は書けるものの、日本語のはうまく書けない(書いた経験がない)からです。



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といっても、ここはブラジル。

日本のように文房具店などに売ってある履歴書用紙を買って、ペンで書き込むわけではありません。

文書作成ソフトを使って履歴書を作り、それに書き込むわけですが、入社希望する会社の人事担当者の注目を引くようなモノにしなければなりません。



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インターネットでサーチすれば、ここでもお見せしているように、さまざまな、カラフルな履歴書があります。

まあ、そんなにカラフルなものにしなくてもいいのですけど(それに日系企業は欧米の企業に比べて、”落ち着いた形のオーソドックスな履歴書を好むでしょうし...)、一応、見栄えいいものにしなければなりません。




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おかげさまで、二人とも見事に就職できましたが、当然、これには本人たちの資質とか経歴、面接時の態度&受け答えなどがよかったから就職ゲットできたわけです。





Rさんの場合



この二人の中で、最後に就職できたRさん。

今日は、ちょっと彼女のエピソードをご紹介したいと思います。

日系ハーフの彼女、生まれも育ちも京都。

中卒後、すぐに働き始めたというRさん。

彼女の話しでは、あまり学校(中学)には通わなかったとのこと。

たぶん、日系人だからイジメとかにあったのではなかったか...

とLobyは想像しました。

(日本の学校でイジメにあう日系人に子どもって多いのです)


Rさんが両親たちといっしょにブラジルに引き上げてきたのが1年半ほど前。

ところが彼女はぜんぜんポルトガル語が話せません。

それに加えて、ブラジルは日本とは文化も何もまったく違う。

一応、Lobyが教鞭をとっている日本語学校に入学しましたが、

1年半、もんもんとしていたようです。



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そのRさん、ある日プッツリ学校に来るのをやめました。

1ヶ月ほどたっても学校に来ないので、心配して母親と話したところ、

”ずっと部屋に引きこもったまま...” とのこと。

2度目に母親と話したとき、

「Rは日本に帰りたいって言っているんです」と事情を話してくれました。

”そうか。日本に帰ってしまうんだな。まあ、顔こそハーフだけど身も心も日本人だから、その方がいいかも...”

とLobyは思いました。



しばらくたって、三度目に母親と話した時、

年末には日本に帰ると言っていました。



若くて将来性もある子が、ブラジルに適応できないのはとても不憫です。

なにか出来ることがあったらしてあげたい、とLobyは思っていました。

よい仕事でも見つかったら、彼女もブラジルで生きていくことができるだろうと。



Rさんのことを半分あきらめていた時、ある日、突然、彼女が授業に現れたのです。

彼女の顔を見たときは本当にうれしかった。

授業後、彼女を職員室に呼んで事情を聞きました。

すると、Rさんは日本にまたもどって働くことを決めたものの、

日系4世であるため、長期滞在はできないことがわかったそうです。

(日本の外国人労働者に関する法律は厳しいのです)

それを知ったとき、彼女は落ち込んでしまったそうです。



それはそうですよね。

彼女は”日本でしか生きていけない”と思っているのに、

日本からはシャットアウトされたわけですから。

日本には帰れない、ブラジルには適応できない...

事はすごく深刻だったわけです。

ふだんから寡黙な彼女。

ヘタするととんでもないことをしでかす可能性もなきにあらず。。。



”これは何が何でも、彼女にいい仕事を見つけてあげなければ...”

とLobyは決意し、知人などにお願いして、Lobyが彼女のために作成した履歴書を送りました。

それが12月の初め頃。

知人の骨折りで、幸いにも地元の日系中企業に面接に行くことが決まったのが12日。

その日のうちに採用が決まり、週明けの今日(15日)から仕事をすることになりました。

彼女もご両親もとてもよろこんで...



まあ、彼女自身、ルックスもいいし、とても落ち着いた人だし、頭の回転も早い子だし、

日本で働いていたときも、無欠勤、無遅刻だったという”よい経歴”をもっているので

そんなところをその会社の社長さんも気に入ったのでしょうけど。。。



お祝いのメールを送って、ついでに学校のほかの生徒たちへの励みにもなるからと

就職できた感想や、将来の目標などを書いてもらったところ、



「日本で生まれ育ち、長期間暮らしていた人がブラジルへ帰国し、

ポルトガル語が話せないで困る人がこれからも増えると思いますので、

ポルトガル語をマスターして、私と似たような経験をしている人を

少しでも支援できるようになりたいと思っています。」



という、この年齢の若い子にしてはめずらしい、

”人のために役立ちたい...”という思いを書いてくれました。

ふつう、この年代の若い子って、ほとんど自分のことしか考えないものなのですけど、

やはり、自分がとても辛い思いをし、苦しんだから、

自分と同じように苦しんでいるブラジル人たちのために役立ちたいと

強く思っているのでしょう。




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”けなげ”

という言葉が頭に浮かびました。

これからも、いろいろたいへんなことがあるとは思うけど、

決してひるまずに、希望をすてずに、がんばって強く生きて

ほしいと思います。



ともあれ、最初に”日本の高校か大学の先生になったような気持ち”と書いたのは、

日本の先生は生徒たちの就職にご苦労される方が多いと聞いているからです。

生徒たちが立派に巣立って、社会でひとり歩きすることをおぼえ、

幸せになっていくことに勝るよろこびはありませんね。

 

今日もご訪問有難うございます♪

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あしあと(46)  コメント(14)  トラックバック(0) 
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コメント 14

isoshijimi

履歴書、自分でフォーマットから作るのですね。
お国がかわれば事情が変わりますね。

Rさん、今まで苦しんだ分、これからたくさんの幸ありますように!

Lobyさん素敵ですね!
よかったですね。
by isoshijimi (2014-12-16 03:57) 

Silvermac

お世話をした甲斐があって良かったですね。
by Silvermac (2014-12-16 06:08) 

駅員3

素敵なお話しをありがとうございました。
こんなご苦労をされている方もいらっしゃるんですね。
彼女の思いが広がって、一人でも多くの方々の希望となられるように祈っています。
こういう方々に、何か僕でもお力添えできることはないかなぁ・・・・
ノーアイデアです(^^;っっ
by 駅員3 (2014-12-16 07:43) 

himanaoyaji

日本企業の海外生産が増え、国内工場の閉鎖などで海外からの労働者が母国へ帰るのが多くなってきてます、そこで問題なのが日本生まれで日本語しか話せない子供が母国で非常に困っている子供が増えてると聞いてますよ。 
by himanaoyaji (2014-12-16 08:06) 

asty

Rさん、ぜひ頑張ってほしいですね(^^)
自分の居場所をみつけて、いきいきされる事を祈ります。
by asty (2014-12-16 16:39) 

kuwachan

就職された方々の今後のご活躍が楽しみですね。
是非頑張ってもらいたいものです。
by kuwachan (2014-12-16 19:27) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

なかなか、良いお話です。
感動します。。
Lobyさんも教師冥利に尽きますね。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-12-16 21:00) 

るぐっちぃ

Rさんとても素晴らしい女性ですね。
今後のご活躍をお祈りします。
by るぐっちぃ (2014-12-17 14:24) 

トモミ

後半のお話、深刻な問題ですね!でも、彼女個人に関しては本当によかった!!Lobyさんの喜びもいかほどかと。
by トモミ (2014-12-17 17:08) 

Loby

>isoshijimiさん、そうですね。
 こちら(外国?)では、それが普通みたいです。
 手書きは日本あたりだけみたいです。
 Rさんも、これからしっかりとブラジルの大地に
 足をつけて頑張って欲しいです。

>Silvermacさん、いえいえ、私は履歴書を作ってあげて、知人にお願いしただけですよ。

>駅員3さん、そうですね。
 日本でもどこでも、悩んでいる青年って多いです。
 彼女が見事に困難を乗り越えて、将来、その恩を還元して欲しいですね。

>Himanaoyajiさん、そうでしょうね。
 そういう青年が増えているのも一つの社会問題ですが、事が外国人のことだけに、日本ではあまり問題になっていませんね。

>astyさん、本当にそう願っています。
 彼女が就職できて本当に良かったです。

>kuwachanさん、そういう困った青年を助けてあげれる人(地元の企業などに人脈をもっている人)がいるって本当に心強いです。

>なんだかなぁ〜!! 横 濱男さん、まったくです。
 生徒が立派に社会に巣立って行くのを見ることほど嬉しい事はありませんね。

>るぐっちぃさん、応援有難うございます。
 彼女も一層がんばって欲しいです。

>トモミさん、本当にうれしい年末となりました。
 こういった問題、やはり社会が何とかしてあげないと
 悲劇が起こりますね...



by Loby (2014-12-22 04:41) 

ackylacky

この話には感動しました。
帰国子女の問題は日本でもあるようです。
by ackylacky (2014-12-26 22:40) 

Loby

>ackylackyさん、私もたいへん感動しましたので、ブログで紹介しました。
 将来、彼女が本当にそのような”人のためになる”ことをシて欲しいと思います。
by Loby (2014-12-28 06:19) 

ちゃーちゃん

良いお話に感動しました。
Lobyさんの関わりで一人のお子さんが幸せになって
人ごとながら嬉しく思いました・・・
彼女の様なお子さんが日本でも困っていると思います・・・
良く耳にするお話です。
Lobyさん、今後も此の人達の為に頑張って下さいネ!!
by ちゃーちゃん (2014-12-30 23:50) 

Loby

>ちゃーちゃんさん、私自身は相談に乗ってあげて、
 履歴書を作ってあげただけですが、関係者の方のおかがで
 良い会社に就職することができました。
 若い人を一人だけですが、出口のない状況から救うことができたということはとても良かったと思っています。

by Loby (2015-01-02 05:25) 

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