ブラジル大統領選－ 固唾をのむ決選投票

　ブラジルの大統領選、決選投票がいよいよ日曜に行われます。

泣いても笑ってもあと3日しかありません

投票日前日の土曜までに、ブラジルのイボッペ（IBOP）、ダッタフォーリャ（Datafolha）、ヴォックス・ポプリ（Vox Populi）、センスス（Sensus）といった名だたる調査会社が投票率予測を相次いで発表します。

調査会社にとっても選挙は”稼ぎどき”なんでしょうね。

その、ブラジルだけでなく、世界（の投資家）が注目する、大統領選の最新調査では...

 

現職のジウマ大統領（与党候補）がジリジリと追い上げて、わずかながらもアエシオ氏を上回っています。
といっても、この差は許容差範囲とかで、ジウマ陣営もまだまだ安心できません。

調査会社の中でも定評のあるダッタフォーリャ社では、ほかにも興味深い調査結果を発表しています。

以下、それらの調査を紹介します。

まずは、低所得層と高所得層の有権者による予想投票率。
”貧乏人のための労働党政権”というキャッチフレーズや政策が功を奏したと見え、やはり低所得層に圧倒的な支持率をもっているのがジウマ候補。
対してアエシオ氏は、どうやら”金持ち＆企業家”からの支持が高いようです。

ついで、男女有権者別の予想投票率です。

ジウマ候補が女性だからか、はたまたアエシオ候補のイケメン度が足りないのか（これは冗談ですが...）、女性有権者はジウマ派が多いようです。

しかし、周知のように、調査というのはあるルールにしたがって特定のサンプルから回答を得るもので、そのため調査結果はあくまでも”確率”であるということを忘れてはなりません。

ましてや、選挙における支持率の調査対象サンプル数が3000人とか4000人とかいう限られた数では、今回のような接戦では、確度の高い予想をすることは無理のようです。

ちなみに、前回のブラジル大統領選に関する記事の中で取り上げたポーリングデータの最新情報では、この通りの結果となっています。

 

ポーリングデータは高確率度の予測で有名になりましたが、このデータでも両候補の支持率の差はわずかなものです。

たぶん、こちらの週刊誌や新聞などが予想しているように、”支持政党なし”や”まだ決めてない”有権者たちが最終的に下す判断でどちらの候補が当選するかが決まると思います。

一方、12年間という長期にわたる労働者党による一党（独裁？）政治は、やはり様々な弊害を生み出しています。（まるでどこかの国のようですね...）

進まないインフラ整備、高いコスト、重すぎる税制、山ほどある官僚主義的（悪）慣習、ムッソリーニを真似た厳格な労働法といったブラジルの構造的な問題に、労働党政権はほとんど取り組もうとしませんでした。
それに先の「メンサロン汚職事件」、今回の「ペトロブラスの贈収賄事件」などは、現政権内で汚職・腐敗がかなり深く浸透していることを如実に示しています。

また、ルセフ大統領はブラジルの協調組合主義を復活させ、内部関係者に、減税や肥大化した国営銀行による補助付き融資などで便宜を図ってきた。自身の緩い財政政策によるインフレの影響を和らげるために石油価格を抑制し、国営石油会社のペトロブラス公社とエタノール業界の両方に多大なダメージを与えました。

なにしろ、極端に左傾化した思想をもつ労働党は、キューバのカストロ政権、ベネズエラのチャベス（独裁）政権、ブラジルなどに自国のケシの栽培から生産される大量の麻薬（ヘロイン）を輸出することを奨励するボリビアのモラエス政権などとの結びつきを強め、最終的には旧ソ連並みに”人民の代表によって統治する”ことを目指しているのが労働党なのです。（これらは全てブラジルの一流紙や週刊誌がすでに指摘している事実です）

”人民の代表によって国を治める”なんて、耳障りはいい言葉ですけど、その実際は、企業家や企業（資本家）を人民から搾取する、人民の敵”というかなりア
ナクロニズム的な思想を未だ持つブラジルの組合などを人民の代表として政治に直接参加させるという、時代粗逆のような考えなのです。

国民の政治意識の問題、ブラジルの場合は日本の若者のように政治に関心がないのではなく、教育レベルの低さに原因する政治無知がほとんどなのです。
為政者にとっては、これほど”操りやすい大衆”はないでしょうけど、しっかりと将来を見すえる時、危機感をもつのは当然です。

今回の大統領選、そんなおかしな方向に向かっているレールを是正するためにも、有権者はしっかりと候補者の思想＆行動をみて一票を投じてほしいものです。

今日もご訪問有難うございます♪

タグ：ブラジルの大統領選　民主主義　社会主義　選挙　汚職事件　有権者　支持率　メンサロン事件　ペトロブラス贈収賄事件

コメント 10

どんな結果になるのか、不謹慎な言い方かもしれませんが楽しみですね。
by isoshijimi (2014-10-24 04:46) 

現大統領が優勢のようですね。
by Silvermac (2014-10-24 05:48) 

コメントありがとうございました。
お嬢さまの幾久しい幸せをお祈りいたします。

日本でもNHKが選挙の模様を伝えていました。
どのような結果になるのか私も興味津々です。
by 駅員3 (2014-10-24 07:07) 

＞教育レベルの低さに原因する政治無知
そうですよね、ブラジルだけでなく世界に必要なのは武器ではなく学校（教育の場）だと思います。
by ちょんまげ侍金四郎 (2014-10-24 07:40) 

有権者の判断はどうでるか？
ある意味楽しみですよね^ ^
by kuwachan (2014-10-24 17:52) 

1党支配は、確かに良くないですね。
日本の場合は、政治力が1党しか無いので、
どうしようも無いですが。。。
貧乏人と金持ちがほぼ半々なので、
どちらに転んでも、不満は出ますね。
さて、結果は。。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-10-24 20:50) 

いよいよ選挙ですね。　何れにしても良い国にして欲しいですね。
某国の首相は　大企業優先の政治で庶民は苦労しています。
by ja1nuh (2014-10-25 21:43) 

　人民による政治は官僚独裁になるということを、旧社会主義国の歴史が証明したと思います。
by ackylacky (2014-10-25 23:28) 

こんばんは！
接戦になりそうですね☆
投票率が高いだけに
最後まで行方はわからないのでしょうね。
by ちゅんちゅんちゅん (2014-10-26 18:45) 

＞isoshijimiさん、結果は出ましたけど、最後までハラハラさせられる大統領選でした^^;

＞Silvermacさん、対立候補も善戦したのですが、わずか及びませんでした。

＞駅員3さん、重ねてお礼を申し上げます。
　大統領選、結果は出ましたけど、最後までハラハラさせられる大統領選でした^^;

＞ちょんまげ侍金四郎さん、今日のTVニュースでは、ブラジルが教育にかける金（予算）は、日本や韓国などよりも多いそうです。
　それなのにレベルが上がらないということは、教育システムそのものの問題だと思います。

＞ja1nuhさん、こちらでも似たようなものですけど、時代遅れの共産主義まがいの政治を続ける政党が居座っている限り、真の発展はないし、汚職・贈賄も跡を絶たないでしょう。

＞ackylackyさん、アナクロニズムもいいところです。
　これもすべて国民の大半が政治無知であるところに因ります。
　為政者側にとってはやりやすい国でしょうけど。

＞ちゅんちゅんちゅんさん、こんばんは!
　最後まで大接戦でしたが、与党候補が現職の強みをみせて勝ちました。　

＞kuwachanさん、政治に無知、または生活補助をしてくれる政党（候補）に投票するという有権者が大多数を占める政治意識後進国では、大きな変化は見られませんね。

＞なんだかなぁ〜!! 横 濱男さん、結果はニュースなどですでにご覧になったと思いますが、現職の強さで与党候補が勝ちました。
　汚職事件、贈賄事件、何するものぞ、と言ったふてぶてしさで...

＞
by Loby (2014-10-28 21:37)