SSブログ

To be not to be [日記]

To be not to be

有名なシェークスピアの悲劇『ハムレット』の中で出てくるセリフです。

和訳は「生きるべきか死ぬべきか」だそうです。

と言っても、今日はシェークスピアについての話題でもなく、

『ハムレット』についての話でもありません。

(シェークスピアの作品なんて、映画で見た『ロミオとジュリエット』や

『ヴェニスの商人』くらいしか知らないLobyで[たらーっ(汗)]

今日は、これについての話です…

ケータイ0


いや、正確にはの先祖さまについての話というべきでしょう


 

telefones.jpg

スマホやケータイ電話の先祖ともいえる電話機が発明されたのは1870年台。

だれが電話機を発明したのか(当時、アントニオ・メウッチ、イライシャ・グレイ、アレクサンダー・グラハム・ベル、トーマス・エジソンなどが[電話]電話機の実験を行っていた)についてはここでは論じませんが、いち早く特許を取得したのはグラハム・ベルでした(1876年3月3日に米国にて特許発効)。



電話機の特許を申請した当時のグラハム・ベル(29歳)と電話機
 
Graham Bell      ベルの電話機





ところが…

現在ではこれほど便利だと誰人もがみとめる[電話]電話機も、

ベルが特許をとった当時は誰も関心を示さなかったようです。



こんな話はよくあることです。

特許を金が儲かる商品にするには金(資本)がいるのです。

つまり、スポンサー(or 企業)の支援がなければ特許で儲かることはできないのです。

グラハム・ベルも[電話]電話機の特許は得ましたが、当初は企業や出資者は誰も関心を示しませんでした。 

このままでは、人類に大きく貢献することになる文明の利器の普及は大きく遅れることになる… [exclamation&question]


telefones.jpg




グラハム・ベルの大発明が、世界に知られるきっかけというか、
“幸運の出来事”が起こったのは、1876年にアメリカ独立100周年記念として開催されたフィラデルフィア万博ででした。
英仏を追い越し、経済大国にならんと急速に成長していた米国が、世界にその力を誇示せんとして開催したのがフィラデルフィア万博でした。

フィラデルフィア万博は、120万平方メートル(290のサッカーコートと同じ大きさ)という広大なもので、37カ国が参加、250のパビリョン、6万人の展示者、そして9百万人の入場者 ―当時の米国人口の2割に匹敵― という、まさに世界の注目を集めるにふさわしいメガイベントでした。

このようなメガイベントは、新商品などを売り出すのに絶好の機会。
ちなみに、このフィラデルフィア万博では、最新テクノロジーの代表商品としてレミントン社のタイプライター第1号機やヘンリー・フォードがのちに自社の自動車に採用することになる内燃機関(エンジン)や、トーマス・エジソンの児童電信装置などが展示され多くの関心を集めていました。


フィラデルフィア万博会場
フィラデルフィア万博会場





グラハム・ベルも、この機会を利用して彼の新発明品“電話機”を売りだそうとしましたが、出展するための手続きが遅れたため、出展者リストにさえ名前が記載されない始末。そのため、万国博会場でグラハム・ベルにあたえられた展示場所は、会場の中心から遠く離れた通路の一番奥の小さな場所で古びた木製のテーブルが一つだけという最悪(?)の展示ブースでした。
さらに、ボストンから電話装置一式を運んでもって来たのですが、その荷物の中にあった電話線が紛失するというハプニングまで起こり、まさに踏んだり蹴ったりの不運の連続。グラハム・ベルは、不運を嘆きながらも急遽紛失した電話線の代わりを探さなければならないはめに。
会場の片すみにあるグラハム・ベルの展示ブースを訪れるものもなく、万博の審査員たちももちろん、そんなところまで足を運ぶこともありません。

絶大な人気を博したフィラデルフィア万博も終日に近づき、その日の夕方、ベルは万博中心部近くまで行って、審査員たちが多くの新聞記者などに取り囲まれながら、退場の準備をしている姿を眺めていました。

”あ~ぁ。これでせっかくオレの発明を世に知らしめる機会も終わりだな…” [もうやだ~(悲しい顔)]
とベルは失意の中で思っていたことでしょう。
 その時、「あなたはミスター・グラハム・ベルでは?」
と後ろから声をかけた人物がありました。

ふりかえって見ると、そこにはりっぱな白髭と青い目をした紳士が立っていました。
彼の名はペードロ2世。ブラジルの皇帝で、米国大統領の招待で万博見物にやって来ていたのです。

この時のペードロ2世の訪米は米国マスコミの関心を呼び、彼の行くところは常に新聞記者がついてまわっていました。
ペードロ2世皇帝は3週間前、ボストンを訪れた折に聾学校(日本では特別支援学校)を訪問しており、その時に視話法インストラクターだったグラハム・ベルを知ったのです。

ペードロ2世皇帝
ペードロ2世1



幸運とはこのことを言うのでしょう。
その時、ペードロ2世は万博の審査員たちといっしょに出展品の評価をしていました。
「あなたは、ここで何をしているのですか?」
ペードロ2世の問に答えて、ベルは“人間の声を遠くまで伝える機械”の特許をとったので展示しに来たのだ、と説明。
「おお、そのような発明なら是非とも見なければなりませんね」
とペードロ2世は答え、ベルは先導して皇帝と取り巻き(新聞記者、カメラマン、審査員など)を会場の端隅にある自分の発明の展示ブースまで案内しました。

そこにたどりつくと、ベルはペードロ2世に100メートルほど離れた場所まで歩いて行って、電話線とつながった金属製の受話器を耳に当てて欲しいとたのみました。
ペードロ2世がその場所に着いて用意された椅子に腰掛けたのを見て、グラハム・ベルは送話器に向かって
「To be or not to be」としゃべったのです。
ペードロ2世は「マイゴッド、この機械はしゃべっている!」
と叫んで驚き、椅子から飛び上がるようにして立ち上がると、グラハム・ベルのいるところまで走っていって、この大発明をなしとげた男の手を強く握手しました。

かくしてベルの発明はマスコミに大々的に取り上げられることになり、電話事業への出資者も現れ、電話は急速に世界中に普及することになりました。

もし、あの時、ペードロ2世皇帝が別のところにいたら… いや、ベルが自分の展示ブースにとどまったままだったら、スマホやケータイ電話の進歩は10年ほど遅れていたかも知れません。

 

telefones.jpg



このエピソードは『1889年』という本に載っていたものです。


1889.jpg



『1889年』はブラジル人のジャーナリストであり、歴史作家でもある

ラウレンチーノ・ゴメスの最新作で、ブラジルが帝政から共和制に変わった時代を綴っています。


ラウレンチノゴメス



ゴメスはすでに『1802年』と『1822年』の2冊を書いており、『1802年』はフランスのナポレオンの侵攻からポルトガル王家一族がブラジルに逃れてきた時代を書いており、『1822年』はブラジルがポルトガルから独立した時代を書いたもので、ブログでも取り上げたことがあります(記事はこちら)。

いずれも、ブラジルの学校の歴史教科書では習わない(教えない?)、興味深いエポックメイキングな出来事とその裏を赤裸々に綴っており、それぞれベストセラーとなっています。

こういう歴史裏話はLobyも好きなので、3作ともそろえています

1889-3.jpg


『1889年』は、グラハム・ベルとペードロ2世のエピソードのほかにも、興味津々のエピソードやサプライズがたくさんありますが、それらについては別の機会にでも書きたいと思います。


045.gif

今日もご訪問有難うございます♪

lobo.gif

 

045.gif

         

      




   


あしあと(67)  コメント(13)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

あしあと 67

コメント 13

isoshijimi

電話の発展の背景にはそんな幸運があったのですね。
とっても面白かったです。
by isoshijimi (2014-01-21 08:15) 

ackylacky

本当に新しいアイデアを人に理解してもらうのは難しいです。
まず、名前がありません。形はあっても簡単なスケッチくらいの事も多いですし、法則や方法などの発明では形はありません。
しかも、成功するかしないかなって、やってみなくては分らないし、失敗する可能性のほうが圧倒的に高いです。
by ackylacky (2014-01-21 08:43) 

tsun

電話ってすごい発明ですよね。
しかし私は、いまだに音(声)が線の中や電波になって飛び交っているのが不思議でなりません。
by tsun (2014-01-21 14:19) 

Silvermac

運が良かったですね。
by Silvermac (2014-01-21 17:08) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

人の運命は、紙一重ですね。。
宝くじ、紙1枚でいいので、1等を。。。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2014-01-21 20:52) 

kuwachan

タイミングって恐ろしい程ですよね^^
一瞬でも違えば今の状況はなかったかもしれませんね。
by kuwachan (2014-01-22 00:22) 

すーさん

わわわ、電話が世に広まるのには
そんな窮地にまで立たされた発明の
エピソードがあったんですね(=´∀`)人(´∀`=)。
発明もですが、偶然や巡り合わせってありがたいですね。
by すーさん (2014-01-22 01:00) 

チングルマ

なーるほど… 頷いてしまいました。
by チングルマ (2014-01-22 09:59) 

イヴママ

電話の歴史面白いですね。
今みたいな携帯・スマホを
ベルさんや、ペードロさんが見たら
とっても驚くでしょうね~。
by イヴママ (2014-01-22 15:01) 

Loby

>isoshijimiさん、今は普通に使っている文明の利器も、発明された当初は、普及するまでに多くの困難があったようですね。

>ackylackyさん、おっしゃる通りです。
 どれだけ便利な発明家は、よほどの通の専門家でもわからないだろうし、
 専門家であっても主観などからかならずも適当な評価をするとは限りませんしね。

>tsunさん、ふだん何気なく使っているモノでも、こうなるまでには幾多の苦労があったことがわかるエピソードですね。

>Silvermacさん、偶然というものは、時にとんでもない発展をするものですね。

>なんだかなぁ〜!! 横 濱男さん、あはは。そうなったら、ソネブロなど見向きもしなくなって雲隠れをされるのでは?

>kuwachanさん、遅かれ早かれ電話機は普及したでしょうけど、
 人と人の出会いによって、物事がスピーデイに進む場合がありますね。

>すーさん、本当に偶然の巡り合いって予想もしない展開をしめす場合がありますね。まさしく、ペードロ2世サマサマですね♪

>チングルマさん、まったく驚きのエピソードですよね。

>イヴママさん、発明の歴史ってたいへん興味深いものがありますね。
 今のスマホを見たら?
 ベルさんもペードロ2世さんもぶったまげるでしょう^^;


by Loby (2014-01-22 22:41) 

カリメロ

ご挨拶が、大変遅くなってしまいましたが・・・
息子へのお祝い、ありがとうございました^^
タイミング、時期ってありますよね~^^
どんなに素晴らしくても、早くても遅くてもダメって事が!
凄いですね。。。
by カリメロ (2014-01-23 02:30) 

駅員3

人は便利なものを手に入れる度に、貴重な何かを失って行くような気がします(^^;;
by 駅員3 (2014-01-23 10:27) 

Loby

>カリメロさん、そうですね。タイミングって本当に重要だと思います。
 タイミングを間違えるとプロポーズも成就しませんし(?)、
 起業も失敗しますね^^;

>駅員3さん、あまり便利すぎるものになれてしまうと、
 本来持っている大事なモノなどをなくしていきますね…



by Loby (2014-01-24 20:36) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。