SSブログ

人間界・動物界の不思議 [サイエンス]

今日は少々ポレミックな話題です。

テーマ―は『同性愛の謎の究明』です。

同性愛問題について、肯定、否定、理解できる、できないなどといった個人的な考えは別にして、純粋に科学的見地から見たレポートが去年の暮に発表されていますので、それを紹介しつつ記事を展開したいと思います。(本当のところは、昨年末にブログ記事の種として保存しておいたのを今頃見つけ出したので載せたのです。陳謝)

osumesusinboru.jpg



まず、最初に、進化生物学の観点からみた同性愛は謎だらけだそうです。

進化生物学から見た場合、

“同性愛が遺伝性である場合、生物学上の子どもを残すことができない同性愛者は、自然淘汰されていくべき”

なのに、同性愛というモノは、人間界にあるだけに限らず、“自然”の動物界にも幅広く見受けられ、1999年のブルース・ベージミルの研究では、交尾に限られない、同性愛的行動が1500に近い種で観察されることが示されていて(Biological Exuberance: Animal Homosexuality and Natural Diversity, St. Martin's Press, 1999)、このうち500種については十分な典拠があげられているそうです。(参照記事


この、人類発生以前(?)からの謎を解くべく、研究チームを組んだのが米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校のウィリアム・ライス生物学教授。(やはり米国は違いますね。日本だったら、こんな研究には誰も金を出さないでしょうね…)

数年間におよぶ研究の末、同チームが出した、この進化学の矛盾を解決する答えとは…


雄同士のキリン(Wikipediaより)
Two_Giraffes.png




謎をカギとなるのがエピジェネティクス(一般的には「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」)。エピジェネティクスとは遺伝子がどう働くか、どう病気を発症させるかを説明する新しい学問です。遺伝子のスイッチを不自然に入れたり切ったりし、DNAをより高いレベルからコントロールしている物質があるとする概念から理論を組み立てる学問でもあるそうです。以下、ニュース記事の抜粋です。


エピジェネティックな要因が受け継がれる

最近の研究で、エピジェネティックな要因は、時折、世代間で受け継がれることが判明。それにより、親族の間で共通の遺伝子のように見える効果が現れるのである。
性別を決定するエピジェネティックマーカーは、胎児の発達の初期段階で形成される。このエピジェネティックマーカーは、妊娠後期の胎児を男性ホルモンであるテストステロンから保護する役目があるという。

この機能のおかげで、女児胎児は男性の特徴を受け入れないようになっているのである。また、あるエピジェネティックマーカーは、生殖器の発達やその他の性的アイデンティティ、引かれる相手の性別など、その他の嗜好(しこう)まで影響を与えているという。


同性愛遺伝1



父親から娘へ、母親から息子へ

性別を特定するエピジェネティックマーカーは、通常1代、つまりその胎児本人だけに作用するが、ごくまれに父親から娘へ、または母親から息子へと受け継がれることがあるという。その場合、性的嗜好(しこう)が反対になるのである。
この様な現象は血族間で繰り返されるため、親族の中に同性愛者が何人かいるということが起こるのである。
性別を特定するエピジェネティックな調節を引き起こす遺伝子は、生殖における優位性を意味している。それゆえに、次世代におけるエピジェネティックマーカーは、削除されないのである。
エピジェネティックマーカーによる世代間の性的特性の伝達は、同性愛を説明するもっともらしいメカニズムであるといえよう。
参照サイト

この理論は昨年12月に学術誌「The Quarterly Review of Biology」に紹介されたそうですが、専門家でない私たちの目(頭?)で見ても、つじつまの合う、納得できそうな理論ですね。

まあ、人間の場合はいまだ社会的な差別が強く、科学的にその原因が解明されたとしても、即、この問題の解決にはつながらないわけですが、それにしても動物界でかくも多くの観察例、実例があるとは正直いってオドロキでした。
昔からサルの中にはそんなヤツがいる場合もあるとは聞いていましたが…
自然界の中でそれほど多いということは、やはりそこには何らかの必然性を考えるほかありませんね。

そもそも、人間界の中においても、性的嗜好は別にして、性格的に

 

100パーセント男性(らしい)、

100パーセント女性(らしい)

というのは存在しないそうです。

つまり、男性でも“やさしさ”とか“繊細さ”とかいうような“女性的特徴”をもっている者もいるし、その反対に女性でも“たよりがい”があるとか“理論的”思考をもっているなどという“男性的特徴”をもっている人もいるというわけで、とくに夫婦などでは、両者が相手に不足している部分を“お互いに補完しあう”ような性格をもつカップルをよく見かけます。(逆説的にいうと、この補完関係がうまくいかないカップルは長続きしない可能性が高い?)

だからと言って、少々“女性的”なところが多い男性は男性じゃない(らしくない)とか、“男性”らしさのある女性は女性じゃない(らしくない)ということではないでしょう。
これは先に上げたエピジェネティクスによる指摘以前に、人間は『社会的動物』であり、『ホモサピエンス』(知恵のある人)であるわけで、さまざまな体格、性格、身分の人たちがいっしょに仲良く暮らしている種であるからです。

ちなみに、かなり以前の話ですが、Lobyが購読していた日本の科学誌にある時、『性度テスト』なるものが付いてきて、それを友人であるブラジル人夫婦たちに試してみたところ、いかつい体格のブラジル人男性たちが、性度的には60パーセントくらい“女性的”と出たのにはオドロキました。ふだんから男っぽさを誇りにしているような彼らは大いにクサリましたが。[たらーっ(汗)]
興味深いことに、このマッチョマン的な男性たちの奥様たちは、すべて“夫の不足がちな男性度”を補うかのように強い(50パーセント以上)男性度[グッド(上向き矢印)]を示したのです!

その科学誌(すでに廃刊になりましたが)でも、性度の問題(高低)は、女性男性のアイデンティティの否定でも増減でもない、と明確に書いていました。
それに、ここで重要なのは、この『性度チェック』でもはっきり出るのですが、男性度何パーセント、女性度何パーセントとかテスト結果で出た場合、どちらかが100パーセント出ることはほぼなく、70パーセントとか50パーセントなどの結果が出るわけですが、100%未満分は、反対の性度として出るわけです。
つまり、たとえば男性度が70パーセントと出た男性でも、30パーセントは女性度があり、女性度60パーセントと出た女性でも残りの40パーセントは男性度として出るというわけです。

生物進化学的(遺伝子学的と言うべきか)には、男性を決定するY染色体(性染色体)は女性を決定するX染色体(性染色体)が突然変異した結果生まれたものだとされていますし、男性らしい体格・思考・行動の原因となる男性ホルモンは女性ももっているし、男性も女性ホルモンをもっているのは周知の事実ですが、実は女性は女性ホルモンより男性ホルモンの量の方が多いそうです。
これにはいささか知識の広いLobyもビックリ[がく~(落胆した顔)][exclamation×2]しましたが、事実のようです。
Wikipediaには「雌では卵巣内の卵胞の顆粒層細胞から分泌されるアンドロゲンは卵胞内の卵胞上皮細胞で芳香環化されてエストロゲンに変換される」というから、女性の場合、このあたりのプロセスで男性ホルモンは無効化(?)されるのでしょう。(参考サイト

男性の場合には、コレステロールから弱男性ホルモンとよばれるものが作られていて(ほんの微量)、これが変化することで女性ホルモンとなるそうです。(参考サイト) もともと、この2つのホルモンは構造がとても似ているため、酵素の微妙な働きによって全く違う働きをするホルモンに変わるということらしいですが、性ホルモンからして男性も女性も欠かさずに(?)もっているということからして、100パーセント男性100パーセント女性は存在しないことになるわけですね。

それに、"女性らしさ”とか”男性らしさ”なんて、時代によって社会での評価というか、認識が変わってきますので一概に、”これが男性らしさの基準だ”とか”女性らしさの基準”などというものは決められないことになりますね…

あ、そうそう、ここまで読まれた方は、

「じゃあ、Lobyさん、あなたたち夫婦はどういうテスト結果だったの?」

と聞きたいでしょうね?

もちろん、Lobyもいの一番にテストをしましたよ。
そして奥さんは二番目に。

その結果は…


Lobyは男性度が半分以上。(たしか60パーセント程度だったと思う)

奥さんが女性度が半分以上。(上に同じくらい)

ごくフツーの結果でした。

(当然、Lobyは女性度が40パーセント程度あり、奥さんは男性度が40パーセント程度あったことになります)

つまり、私たち夫婦はごくフツーの夫婦というわけです。

道理でフツーにうまくやって来れたわけです。

 ………

 ………

【後記】

この記事を書き上げたあとでふと考えたのですが、相性というのもこの『性度』あたりの影響があるかも知れませんね。たとえば、ある男性が男性度70パーセントあるとして、同じく男性度が60とか70パーセントある女性とつきあう、もしくは一緒になるとしたら… やり方(行動)や考え方が似すぎて(この点は問題ない?)おたがいに飽きるかもしれないし、それにもっとも”肝心な” おたがいに補完するできる部分が少ないので物足りなさを感じるかも知れません。 おたがいに補完しあうというのは、カップルではたいへん重要だと思うのですが…

今日もご訪問有難うございます♪

 

lobo.gif

 

 











あしあと(167)  コメント(17)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

あしあと 167

コメント 17

ちゃーちゃん

こんばんは!!
遅い時間だったので、半分くらいしか読めずご免なさい。
我が家も極、極、普通の夫婦の様です・・・私の方が少し男性度が
高いかも?
by ちゃーちゃん (2013-04-02 23:30) 

himanaoyaji

難しい事はわかりませんが、 抱きたい、抱かれたいが一緒になる
自分に無いものを相手に求める、これ、自然の摂理と考えます。
by himanaoyaji (2013-04-03 06:10) 

駅員3

なるほど、勉強になりました。
最後の「後記」まったくその通りですね。
by 駅員3 (2013-04-03 07:29) 

ackylacky

若いころ有名な芸術家には同性愛者が多いので、理解しようとしたことがあったのですが、自分に無い感覚というのはどうにも実感できないもののようでした。
しかし後年になって、性的な関係なしに、男同士の社会的なつながりの中にも同性愛的な要素があることが見えてきました。能力が低くても上司に認められやすい人がいるんですね。
完全に同姓にしか欲情しなければ淘汰されますが、ある程度両方の要素を持った個体のほうが、群れや社会を作る動物の場合有利に働くし、そうでない場合も自分より強いオスからの攻撃を避けられるという効果はあるように思いますがどうでしょう。
by ackylacky (2013-04-03 08:13) 

もーもー

いつも、ありがとうございます
  個人の  尊重をしなければいけませんが
同性愛  者が  たくさんいると言う事・・・・
 また、お姉系が   たくさんいること
  男性が  衰退しちゃうんじゃないかと  
先々  心配です・・・・
  子孫が  減るわけで
人類滅亡   の日は  必ず来そうです・・・・
by もーもー (2013-04-03 09:32) 

月夜

お互いの違いを認めお互いにないものを補うのって大切ですね。
by 月夜 (2013-04-03 10:39) 

青い鳥

おたがいに補完しあうからカップルがうまく長続きする、
確かにその通りだと思います。
違和感無く暮らしていける事が大切ですね。

by 青い鳥 (2013-04-03 11:04) 

PopLife

男性遺伝子は女性遺伝子が変異したものと聞きます。ですので
実は先祖返りなのかもしれません?同性愛者が増えたのも実は
神の思し召しなのかもしれません?世界の食糧事情等を考慮
したなら。と言った訳でではまた、
ありがとうございました。
by PopLife (2013-04-03 11:51) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

俺は、硬派だ。。。
と言っていても、
女性度が30~40%あるんですね(笑)


by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-04-03 21:16) 

Loby

>ちゃーちゃんさん、こんばんは。
 そうですか。お宅もごくフツーのご夫婦ですか^^b
 どこでもうまくいっているご夫婦は、おたがいによく補完しあっているようですね。

>himanaoyajiさん、そうですね。自然の摂理ですが、中には今回とりあげた話題のように、少々不可解な行動をとるものもあるようです^^;

>駅員3さん、私にもたいへん勉強になりました。
 相性などもこういうところで差が出てくるのでしょうね。

>ackylackyさん、そう言われてみればそうですね。
 芸術家や昔の武将の中にもそういう傾向の人がいましたよね。
 友人関係などというものも、それは同性愛的な要素が強いそうです。
 人間は(動物も?)好むと好まざるとにかかわらず、そういう要素を一切抜きにしては生きられないような社会に生きているようです。
 人間も動物も繁殖や本能だけで生きていないので、こういった要素があること事態が大事なのかも?

>もーもーさん、そうですね。まず第一に考えなければいけないのは、個人の尊重ということですね。 性傾向などはその次です。
 動物界にも広く例が見られるということは、そこにある”必要性”が存在するのでしょうね。

>月夜さん、そうですね。自由と言っても、根本はおたがいの差を認めるところから出発していますからね。

>青い鳥さん、おたがい補完しあう、ということはカップルにとって愛情の次に大事(または逆?)かもしれませんね。

>PopLifeさん、そうですね、ブログに書いてある通りです。
 人間や動物は社会的な影響にさらされて生きているので、そういった面からの考察も必要だと思います。

>なんだかなぁ〜。横 濱男ですさん、そうらしいんですよ。
 100パーセント男、100パーセント女は存在しないようです^^;


by Loby (2013-04-04 04:19) 

cheese999

仕事場にいる女性は男性度高そうですが、かっこいいですよね。
(^_0)ノ
by cheese999 (2013-04-04 05:49) 

moumou

生き物は不完全なものですからねえ、補完していかないと生きていけません(笑)。私にも多分に女性的なところがありますしねえ。女性の出産を思うとあの痛みに俺は耐えられないよなあと、ひょとして女性の方が強い?とか思うわけです。
by moumou (2013-04-04 07:39) 

チングルマ

うーん 我が家はLoby家と逆のような気がしてきました。
逆でも補完は大丈夫ですね。^^
by チングルマ (2013-04-04 14:41) 

ナツパパ

補完しあう、という意識は大切ですね。
わたしたち夫婦、結婚してもうすぐ30年、
補完しあってここまで来ました。
by ナツパパ (2013-04-04 14:50) 

CountryBoy

考えされられました。
同性愛者と言うものを余り理解する事ができませんでしたが~
自然の動物界にも存在しているとは・・・驚きでした。

by CountryBoy (2013-04-04 15:28) 

beny

 韓国人は疑似ホモも多いという記事を見た覚えがあります。手をつないだりとか。
by beny (2013-04-04 20:43) 

Loby

>cheese999さん、そうですね。会社などでテキパキと仕事されている女性はステキですね♪

>moumouさん、そうですね。世の中はすべて”持ちつ持たれつ”ですからね。女性的な部分は男性だれでもあるようです。それが普通なようです。
 陣痛の痛みには、あれは女性でないと絶えれませんね^^;

>チングルマさん、あはは。それでもフツーのうちですよ。
 カップルの性度の基準なんてありませんから。 うまくやっていければいいと思います。

>ナツパパさんのところもそうなんですね。
 うまく補完しあえるカップルは長続きできるようです。

>CountryBoyさん、私にもオドロキでした。
 自然界は驚異することが多いですね。

>benyさん、ほかの国のことはあまり知りませんが、戦国武将にもかなりいた、というか、そういうのはフツーだったそうです。


by Loby (2013-04-05 11:53) 

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。