人は孤島にあらず [いい言葉]
人は孤島(ことう)にあらず
ただ一つ屹立(きつりつ)する島にあらず
人は皆、大陸の一部
全体の一部
一塊(いっかい)の土塊(つちくれ)が
海に洗われて流されれば
ヨーロッパ大陸は縮小する
半島が流されてもしかり
友の邸宅が流されてもしかり
あなた自身の邸宅が流されてもしかり
いかなる人の死も
私を減殺(げんさい)する
だから
弔鐘(ちょうしょう)を聞いても
人を遣(つか)わして問うことなかれ
あの鐘は誰がために鳴るのかと
その鐘は汝のために鳴るなれば
ジョン・ダン(英国の詩人、聖職者)の詩です。
形而上詩人の先駆者とされ、T・S・エリオットらに影響を与え、ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る(For Whom the Bell Tolls)』のタイトルはダンの説教の一節から取られていると言われるほど、当時の詩界や文学界に大きな影響をあたえました。
ダンは若い頃より、肉親の死や戦争への参加、外国への旅行など多くの経験をし、法学院を卒業したその後、英国政府の有力者であるの国璽尚書サー・トマス・エジャトンの第一秘書に任命され、エリートコースを約束されたかに見えましたが、エジャトンの17歳になる姪(14歳、16歳という説もある)アン・モアと恋に落ち、周囲の反対に遭いながらも結婚したことで出世コースから外されてしまいます。
田舎に住み、貧乏弁護士として働く傍ら詩を発表し始めますが、当時(エリザベス朝)よく起こっていた出来事をテーマにした風刺詩は、知的洗練さときわだったイメージが特徴だったといいます。
中でも『風刺詩III』はダン本人にとっても大変重要なテーマ、つまり真の宗教の問題を扱ったもので、ダンは、既定の伝統に盲目的に従うよりも、人の宗教的信念を慎重に検討するべきだ、なぜなら「A Harry, or a Martin taught [them] this(ハリーとかマーティンとかがそう教えた)」と言ったからといって最後の審判で救われるものは誰もいないから、と主張ししています。
また、ダンは情熱的な恋愛詩を多数発表していますが、これはすべて愛妻アンに贈られたものだとも言われています。事実、アンとの間には12人の子どもをもうけていることから見ても、たいへん彼女を愛していたことがわかります。そのアンは1617年に12人目の子供を生んだ後に亡くなりましたが、ダンは二度と再婚しませんでした。ダンには養うべき多くの家族がいたにもかかわらず、これは当時としては大変珍しいことだったそうです。(以上Wikipediaより引用)
今日は趣旨を変えて冒頭から少々“哲学的”(?)な話になってしまいましたが、その理由は、以前にブログでも書いた、Lobyが担当する「日本語コース」の生徒Aさんのご主人の一回忌が今週行われたからです。
一年経っても、まだ深い悲しみに包まれているAさん…
そんなたいへんな中でも日本語コースにはがんばって出席しています。
日本語コースでは、日本の歌も紹介し、歌詞の意味を教えながらいっしょに歌っていますが、最近の“お気に入り”はさだまさしの『いのちの理由』。
いのちの理由
私が生まれてきた訳は |
Lobyは輪廻を信じますので、“死んで灰になればおしまい”などと考えません。
夫婦とか兄弟とか友人とか、近しい関係(縁)の者は、常に近いところに生まれ絆をたもち続ける、と考えます。
なので、このさだまさしの歌詞は、抵抗なくすっと胸に入ってきます。まあ、さだまさしもお寺の坊さんの息子なので仏教で説くところの“縁”というものを意識した歌を作ったのでしょうけど。
愛しいあなたに出会うため
私が生まれてきた訳は
愛しいあなたを護るため
しあわせになるために 誰もが生まれてきたんだよ
ここのフレーズがとてもすてきだと思います。
LobyもAさんに、
「きっと(来世で)ご主人にまた会えるから、がんばって生きて!」
「あなたは一人じゃないんだよ!」
と励まし続けています。
ジョン・ダンの詩には
人間としての最も基礎の部分を揺らされるような
響きというか迫力がありますね。。。
さだまさしの詩には
おだやかなのに真実をつきつけられるような
たおやかな鋭さがありますね。。。
Aさん 早く落ち着かれるといいですね。。。
by rtfk (2012-11-23 08:52)
若い頃は唯物論者でしたが、40後半で父親が他界し自らも50を過ぎますと、あの世という故郷があって、そこへ帰ってまた過ごして、そしてまた生まれ行く旅に出ると考えるようになりました。
by ちょんまげ侍金四郎 (2012-11-23 09:53)
さだまさしの「関白宣言」がお気に入りです。
by Silvermac (2012-11-23 09:57)
さだまさし氏の楽曲をそれほど聴いたことはありません。ですがその詩
には一目をおいてはいました。ですがロック少年でしたもので
受け入れがたくもあり聞くことはなかったのです。ですので
流されているなら今後も聞くと言った程度でしょう。ではまた、
ありがとうございました。
by PopLife (2012-11-23 10:25)
ジョン・ダンの詩は深く心に沁みますね。
わたくしは、やはり今生限りの命というものを
信じていません。
さださんの歌はそれほど聞かないのですが、
小説は結構好きです。
「解夏(げげ)」とか「アントキノイノチ」とか。
静かな小説で、深い悲しみが空の青さに溶けるようです。
by sadafusa (2012-11-23 10:51)
さだまさしは殆ど聞いたこと無いですが、良い歌詞ですね。
悲しみを乗り越えて、Aさんの心にLobyさんの思いが届くと良いですね...
by ひでぷに (2012-11-23 11:31)
う~ん、これはいい歌ですね。
私も大好きです。
by 駅員3 (2012-11-23 16:38)
さださんは好きですが、特に好きな歌のひとつです。
by momiji (2012-11-23 16:56)
遠い日に心ふるわせて読んだジョン・ダン、ヘミングウエイです。
by mwainfo (2012-11-23 18:09)
何で産まれてきたんだろう…なんて思われるのは、親からするととても悲しい事だと母になった今は思いますが、やっぱりそんなことを考えたこともありました。
皆悩むこともあるでしょうが、支え合って生きていけることを実感して過ごしたいものです。
同じ星座だから波長が合うとか、信じない方も勿論いらっしゃるでしょうが、私は信じています。
というか、良い事なら信じていた方が幸せですもの!
by 麻能 (2012-11-23 20:53)
現世で生きぬいて、来世でまた巡り合う
なんてのも夢がありますね。
先に逝かれた人達にまた、会える。
それを楽しみに命が終わるまで頑張って生きよう!
そんなふうに思っています(^-^)
by asty (2012-11-23 21:27)
>rtfkさん、ダンの作品は、人間を直視している感じがします。
やはり若い時から、カトリック教に対する不信感や弟の獄死、それに結婚に反対され、それによって出世コースから外されたことなども、社会というもの、人間というものについて改めて厳しい目で見るようになったと思われます。その一方、彼の詩には物事、生命の真実を追求する姿勢が伺えますね。
>ちょんまげ侍金四郎さん、よほどの人(自説に固執する人)でない限り、歳をとるとともに人生観などは変化してきますね。
唯物論、唯心論、いずれも真実の一分しか捉えてない感じがします。
やはり、さだまさしの歌うように、「幸せに生きるために生まれてきた」と考える方が生きるのも楽しくなりますね^^b
>Silvermacさん、私も「関白宣言」が好きです^^b
>PopLifeさん、私も正直言って、さだまさしの曲はあまり知りませんでした。 近年になってほかにもいい歌があると知ったくらいです。
人、それぞれ好きな音楽を聞いて楽しむのがいいと思います。
ただ、クラッシックも演歌もポピュラー・ソングも、中には素晴らしいものがあるということではないでしょうか。
>sadafusaさん、心にずしーんと響く詩ですね。
人生はこの世限りだとすれば、なにも真面目に正直に生きる理由もなくなってしまいますよね。
仏教では因縁果報といいますが、そう考えた方がよりつじつまが合うと思います。
えっ、さだまさしは小説も書くのですか?
それは知りませんでしたが、多才な人ですね。
>ひでぷにさん、さだまさしの歌は、中にはご婦人方から顰蹙をかってしまうような歌(関白宣言)もありますが、深い意味をもつ歌も多いですね。
Aさんの悲しみも時とともに乗り越えることができると信じます。
>駅員3さん、本当にいい歌です。
誰人も、何の意味もなしに生まれたのではないよ…
と教えてくれる歌です^^b
>momijiさんも好きな歌なんですね。
いろいろ考えさせる深い歌です。
>mwainfoさんは文学青年だったんですね^^b
青年時代に文学に親しむということは、たいへん重要で素晴らしいことだと思います♪
>麻能さん、”なんで生まれた来たのだろう…” という考えには、
人生に悲観した心が反映されていると思います。
若い時には、家庭の問題や学校、社会での問題でそう考えることがありますね… 私もそんな時期がありました。
そんな時に、やはり重要なのが”友人”であり、”親・兄弟”。
結婚後はおたがいの”伴侶”だと思います。
ダンがいみじくも詩っているように、人はだれも孤島ではありません。
支えられ、支えて共に生きてゆくのが人間です。
星座に関しては、同じ星座の人がすべてそうではないかも知れませんが、なんだかすごく波長の合う人っていますよね^^
そういう人にめぐり合うととても嬉しいですね♪
>astyさん、そうですね、やはり来世もまた会うのだと希望的に、楽しく考えたほうが人生面白いです♪
仏教で説く因縁果報ということを前提に考えた方が、物事ももっとつじつまが合うと思います^^b
by Loby (2012-11-23 22:11)
T.S.エリオットは、たまたま大学の英語の授業でやったので知っていましたが、彼に影響を与えたジョン・ダンのことは恥ずかしながら初めて知りました。
第一節を読んだだけで救われる気持ちになる人も多いのではないでしょうか。Aさん、悲しみを乗り越えられるといいですね。
by kuwachan (2012-11-23 23:23)
きっと前世でも出会えたからこそ・・・
今があって・・・これからもずっと続くのだろうと
思います。。。
by olegon (2012-11-24 01:52)
>kuwachanさん、エリオットの作品も勉強されたことがあるんですね。
ゲーテの作品なども後世の作家などに大きな影響をあたえています。
ダンの詩もたいへん大きな影響をあたえたようです。
Aさんも時とともに悲しみを乗り越えることを信じています。
>olegonさん、そう考えたほうが、希望がもてますし、現在の人間関係もより大事に出来ると思います♪
by Loby (2012-11-24 09:26)
ジョン・ダンの詩もさだまさしの歌も素敵ですね。 その人の気持ちの持ち方一つで世界が代わりますよね。
by ja1nuh (2012-11-24 22:17)
「いのちの理由」、いい曲ですね。
by PATA (2012-11-26 07:44)
私も輪廻を信じたい。いい詩の歌ですね ちょうどさださんの
Birthdayを聞いたところでした(笑
by もみじ (2012-11-26 18:00)
>ja1nuhさん、ダンの詩もさだまさしの歌も深いですね。
おっしゃる通り、人は気持ちの持ちかた一つで大きく世界を変えれますね。
>PATAさん、たいへんいい歌だと思います♪
>もみじさん、Birthdayも素敵な歌ですね。
『家族に乾杯』のテーマーソングでもありますね^^b
輪廻は信じたほうが物事(因縁果報)の理屈も分かりやすくなりますね。
by Loby (2012-11-26 21:21)