負けて勝つ~ [日記]
『負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~』
NHKで『土曜ドラマ』(全5回)として放映中でドラマとしては結構面白いし、戦後史の一部を知ることもできる興味深いドラマです。
しかし、Lobyに言わせれば、渡辺謙の吉田茂はあまりにもカッコよすぎます。
吉田茂は鳩山一郎が公職追放リストに載せられていることを知ったうえで、これを回避するための努力を一切行わなかった。鳩山一郎氏が公職追放処分を受けたことで、棚からぼたもちで、吉田茂が首相の座を獲得したのである。正確に言えば、首相の椅子を横取りするために、鳩山一郎氏の公職追放を促進したのだと思われる。
NHKで『土曜ドラマ』(全5回)として放映中でドラマとしては結構面白いし、戦後史の一部を知ることもできる興味深いドラマです。
NHKはニュース報道では(とくに政治関連)かなりフィルターをかけたようなニュースを流していますが、こと、ドラマに関しては(他の民放ドラマは見る機会はないのですが...)、クオリティーの面では日本一、世界でも有数のTV局ではないか、と思います。
今回取り上げている『負けて、勝つ ~』を含め、NHKでは最近、太平洋戦争前後を背景としたドラマが続いていますね。
先月終了した『梅ちゃん先生』もそうですし、その前の『カーネーション』もそうでした。
上述の2つのドラマが庶民を主人公として扱ったドラマであるのに対して、『負けて、勝つ ~』の方は題名が示すように、政治家・吉田茂(1878年 - 1967年)を主人公として、日本が太平洋戦争で連合国に対して無条件降伏し、米軍による占領下から「サンフランシスコ講和条約」によって独立するまでを描いたものとなっています。
“戦後日本の歴史の方向を決めた”と言える政治家であり、俗に『吉田学校』と称される、“吉田体制維持のための国会議員グループを作ったことでも有名です。ちなみにこの『吉田学校』からは池田勇人、佐藤栄作など次々と後継者が育ちました。
しかし、Lobyに言わせれば、渡辺謙の吉田茂はあまりにもカッコよすぎます。
こちらは実物...
さて、この『負けて、勝つ ~』、ドラマを見る限りでは吉田茂は“反軍国主義”、“天皇崇拝主義”そして真剣に日本の将来について憂える“愛国主義”であり、政治の世界につきものの“謀略”や“裏切り”などとは関係ない信念と信義をつらぬく立派な人間のように見えますが、実際は政治家につきものといえるこれらのダーク行為を駆使して政権の座につき、政権を維持したことがわかっています。
以下は吉田茂が活躍した時代の出来事です。
日本の敗戦後、最初の総選挙が1946年4月に実施された。この選挙結果を受けて鳩山一郎政権が樹立されるはずだった。ところが、その直前、鳩山一郎氏は公職追放に遭遇。
吉田茂は鳩山一郎が公職追放リストに載せられていることを知ったうえで、これを回避するための努力を一切行わなかった。鳩山一郎氏が公職追放処分を受けたことで、棚からぼたもちで、吉田茂が首相の座を獲得したのである。正確に言えば、首相の椅子を横取りするために、鳩山一郎氏の公職追放を促進したのだと思われる。
実は、当の吉田茂自身もGHQの公職追放リストに掲載されていた。日本の中国大陸侵略作戦に対する強硬姿勢を決定した1927年の「東方会議」に深く関与したことなどがその理由とされた。(「東方会議」が開催された時、吉田茂は奉天総領事だった)。吉田茂は、自分自身の公職追放リストからの除外にあらゆる手を尽くしたと見られている。
また、マッカーサー夫人に対して、花、リンゴ、トマト、メロン、桃などの付け届けをせっせと貢ぐなど、涙ぐましい努力を重ねたのである。その結果として、吉田茂は公職追放を免れ、鳩山一郎氏が公職追放とされたことを幸いに、総理の椅子を手中に収めたのである。(参考:http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/nhk-39bc.html)
ちなみに、吉田茂は、外務省勤務時代(20年間)の多くを中国大陸で過ごしており、中国における吉田は積極論者であり、満州における日本の権益を巡っては、しばしば軍部よりも強硬であったと言われている。
吉田茂は、外交的には覇権国英米との関係を重視し、この頃第一次世界大戦の敗北から立ち直り、急速に軍事力を強化しつつあったドイツとの接近には常に警戒心をもっていたため、国内の枢軸派からは「親英米派」とみなされていた。「二・二六事件」後の広田内閣の組閣では外務大臣・内閣書記官長の候補に挙がったが陸軍の反対で実現しなかった。駐英大使としては日英親善を目指すが、極東情勢の悪化の前に無力だった。また、日独防共協定および日独伊三国同盟にも強硬に反対した。
吉田は「近衛上奏」(近衛文麿が天皇に対し、敗戦必至であるとして、ソ連と共産主義革命への警戒と共に、国体護持のために英米との早期和平を具申した書)に協力したことが判明し憲兵隊によって逮捕され監獄に入れられる。ただし、同時に逮捕・入獄された他の者は雑居房だったのに対し、吉田は独房で差し入れ自由という待遇であった。40日あまり後に不起訴・釈放となったが、この戦時中の投獄が逆に戦後は幸いし「反軍部」の勲章としてGHQの信用を得ることになったといわれる。
これらの経歴から見る限り、吉田茂は決して軍部に反対した反軍国主義者ではなかったということです。
NHKの歴史ドラマ、楽しむ分には問題ありませんけど、事実を曲げて理解しないようにしたいものです。
それと、国営放送たるNHK、ドラマ後に解説をつけて歴史の真相を視聴者に伝えるようにしてもらいたい。
今日もご訪問有難うございます♪
国の頂点に上り詰めるのですから色いろあるでしょうね、綺麗事だけでなく。
わたしには子供心にもやりたい放題に見えた政治家が印象深いです。
今の世にこういう図太い政治家が必要だと思うのですが。
by 斗夢 (2012-10-05 05:41)
おはようございます。
私も同感です。
BSプレミアムや幼児向け番組も素晴らしいです。
ブラジルでも見られますか。
by cinnamon-cardamon (2012-10-05 09:40)
録画してあるけど、まだ観てません。
ゆっくり時間を取って観たいです。
by 風子 (2012-10-05 10:01)
このドラマ 観たかったんですが(涙)
渡辺謙も好きなので。。。
歴史にはまだまだ埋もれた事実や
隠された真実が数多く眠っているのでしょうね。。。
それが明るみに出ないほうが平和なこともあるでしょうし^^)
by rtfk (2012-10-05 13:41)
ある時期を境に民放テレビ局が作るドラマ番組は面白くなくなった
と感じています。その代りに台頭してきたのがNHKさんでしょう。
最近ではEテレ(昔でいう教育テレビ)を押す機会が増えました。
機会があればぜひどうぞ。ではまた、
ありがとうございました。
by PopLife (2012-10-05 13:59)
昭和初期は、様々な歴史上の分岐点がありましたね!
現在の結果が良かったのか、悪かったのか、もっと過去を学んで、今の混迷する情勢を乗り切らなければいけないと思うのですが、与党は身の保身にかかって、国民を蔑ろにしているとしか思えません
by 駅員3 (2012-10-05 16:00)
今の政治家とスケールが随分違う気が・・・・^^;
by さる1号 (2012-10-05 17:04)
吉田茂は高知県出身です。浜口雄幸に次いで二人目の高知出身の総理です。中学校一年の時が敗戦でしたので、この時代のことは少しは分かります。ドラマですから、幾分は脚色されていると思いますが、流れは記憶通りですね。
by Silvermac (2012-10-05 18:45)
ドラマは、やはりドラマティックな部分が必要なんでしょうね(^^)v私も見ましたが、ホント見ごたえがありましたね(^^)v
by さうざんバー (2012-10-05 19:12)
こういう気骨のある政治家がいなくなりました。国を思い国のために行動する政治家がほしい・・・・です!
by rabbit (2012-10-05 19:53)
どんな役者さんが演じるか、で、イメージも変わってしまうので、歴史上の人物が描かれている時は注意が必要ですね。
マッカーサーは完全に、俳優さんの方のイメージしか残っていませんでした。
武田鉄也さんだと、きっと金八先生みたいに見えちゃうんでしょうね…
渋い選択をさせていただくと、写真の吉田茂氏が笑顔のせいか、山本圭さんあたりがイメージだなぁと思いました。
by 麻能 (2012-10-05 20:44)
はい。謙さんでは格好良すぎます。
吉田茂イメージもも謙さんイメージに、
頭の中が書き換わってしまいますね。
by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2012-10-05 21:24)
日本ではそこらあたりの教育が足りないような気がします。
事実をきちんと伝える教育がないように思います。
戦争がありました、だけで終わり。
もう少し、学校でも教えるべきなんでしょうけどねー。
by asty (2012-10-05 21:35)
>斗夢さん、権力者というものは、弱肉強食の世界を生き延びてその座に
座ったものですので、おっしゃる通り”きれい事”だけでは成れないと思います。ただ、ドラマであまりにも”美化”、”ヒーロー化”されることは真相を歪めることになるので、その点も公共放送局はきちんと歴史面からの説明をする義務があると思うのです。
>cinnamon-cardamonさん、ご訪問有難うございます。
ドラマとしては一級だと思います。ただ、吉田茂を一面からだけ描いている、という欠点はありますが...
ブラジルでも見れますよ♪
>風子さん、ご訪問有難うございます。
5回ですから、たっぷり200分以上ある大作となりますね^^b
>rtfkさん、あれれ...
お仕事忙しくて見れなかったんですね。
あとでレンタルで見れると思いますよ。
私は真実の歴史を粉飾するような形のドラマなどには批判的です。
それならそうと、最初から”あくまでも小説をもとにしたドラマです”
と説明すべきだと思います。
>PopLifeさん、私は最近の民放ドラマを見てないので何とも言えませんが、民放局は視聴率ばかり気にして”短期的”に方針を変えますからね。
その点、公共TV局は長期的なポリシーをもとに番組やドラマを製作しているのでしっかりしたものを放送しています。
ただ、ドラマは内容的に真実の歴史と反するところが多々あるのが残念ですが、これらも政府べったりのポリシーにたってのものであるかも。
>駅員3さん、おっしゃる通りです。
現在の国際情勢の中での日本というものを作り上げたのが吉田茂です。だからこそ、厳しい目で彼が下した決断等を考え後世の役にたてなければならないと思います。
>さる1号さん、ドラマを見る限りではその間は拭えませんね。
>Silvermacさん、ドラマの流れは問題ありませんけど、あまりにも政治家吉田茂を美化し過ぎていると思います。
これでは間違った歴史観・イメージを視聴者に植えつけてしまいます。
>さうざんバーさん、たしかに見応えがありますが、もっと真実に迫ってほしいと思います。
>rabbitさん、たしかに最近は気骨のある政治家が見られませんね。
保身ばかりを考えている政治家が多いせいでしょう。
>麻能さん、ドラマですから、どの俳優を起用するかは監督によるものでしょうけど、実際のイメージとあまりかけ離れているのはどうかな... と思います。まあ、ドラマなので仕方ないのでしょうけど。
>なんだかなぁ〜。横 濱男ですさん、私も個人的には渡辺謙さんは好きな俳優の一人です。 吉田茂役、あまりにも上手に演じすぎている感がしないでもありません。^^;
>astyさん、そうですか。最近の教科書は見たことがないのですが、
おっしゃっているようなことはかなり以前から識者たちから指摘されていますね。 歴史はやはりキチンと真実を教えなければなりませんね。
by Loby (2012-10-05 22:10)
こんばんは。
渡辺謙はこの役をするためにかなり体重を増やしたそうです。
その位のことは役を引き受ける以上は当然なのかもしれませんが
たぶん増やすよりも、もとに戻す方がもっと大変ですよね。
by kuwachan (2012-10-05 22:37)
毎週見ていますよ!
先人たちの苦労で今日の日本があることを忘れてはいけませんね。
by seawind335 (2012-10-06 10:26)
>kuwachanさん、俳優は役に合わせるために、よく体重を増やしたりしますね。たしかに、太るよりも痩せる方が難しいでしょうね^^;
>seawind335さん、そうですね。ただし、歴史を歪めてドラマで伝えるというのは疑問を持ちます。見ているものは間違った認識をしてしまいますので。
by Loby (2012-10-06 21:00)
モースはいつも癖のある悪役が多いので彼が出てくるときっと犯人に違いないという目で見てしまいますね。
政治の世界は謀略の世界。あまりかかわりにはなりたくないですね。
by moumou (2012-10-07 07:49)
昔から、政治家は清濁併せ呑むといわれます。ロッキード事件以降、日本人は綺麗事を求めすぎてきたように思います。その結果が今の政治家の小者ぶりと官僚の傲慢につながったのではないかなと。
過度の理想主義は、かえって嘘つきを蔓延させるのではないでしょうか。
by ackylacky (2012-10-07 09:50)
全くおっしゃる通りですね
映画とはいえ、渡辺 謙さんでは、カッコ良すぎます。
by たもぎ (2012-10-07 12:26)
>moumouさん、モースは名俳優の一人ですね^^b
政治の世界は魑魅魍魎の世界でもあります。
そんな中でも、”国民のため”という政治家にとっての大目的を
忘れずに政治を行なって欲しいです。
>ackylackyさん、そういう厳しい世界なのですね。
あまりにも力(権力)と金があるすぎるために、国民のことが見えなく
なる者も多いようです。
たしかに現在はあまりにも”小物”政治家が多すぎます。
転換期を迎えた日本には、昔のような大物政治家を必要としている
と言わざるを得ませんね...
>たもぎさん、そうでしょう?
謙さん、あまりにもカッコよすぎますよね?
by Loby (2012-10-07 20:01)
渡辺謙さんは「沈まぬ太陽」で深くなりました。元日航の小倉さんと吉田茂では違いがあり過ぎますね(^^;) 武田鉄也さんいいかもです。
民主主義不完全な世界でえらくなった方は普通じゃない気がします(^^;)
by momiji (2012-10-07 23:46)
NHKの事実を歪曲して 美化する番組の制作は非常に不快です
歴史の真実を わかっている限り忠実にノンフィクション番組として
国民に知らしめる義務があると私は思います
歴史はややもすれば美化されたり 虚偽であることが多々あると
私は 考えています
日本は第2次世界大戦に敗れましたが 何故戦争をしなければならなかったのか 正しい歴史を 教科書に記述して欲しいと思っています
今の歴史の教科書は 敗戦国としての一方的な歴史として記述してあり
事実とは異なるのです
by エコピーマン (2012-10-08 01:40)
>momiji さん、「沈まぬ太陽」は見ていませんが、渡辺謙さんが主役を演じられたのなら、きっと素晴らしい作品になったことでしょう。
武田鉄矢さんは、雰囲気的に吉田茂に似ていると思いました^^;
>エコピーマンさん、公共放送なのですから、ドラマはドラマとしてストリーが現実と違う時には、解説で補足して”公共性”、”公正さ”をきちんと視聴者に示すべきだと思います。その点は英国のBBCに見習って欲しい。
教科書の問題も、かなり以前から指摘されていますが、いまだに改善されていません。どうも日本の政治・教育界のトップには、日本の歴史を歪めて国民に伝えようという意思があるとしか考えられませんね。
by Loby (2012-10-08 20:43)