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最近の事件で考えること [考えること]

アメリカでは、バージニア工科大乱射事件。日本では長崎市長の射殺事件。イラクでは相変わらずの自爆テロで無実の市民が200人近くが死亡...
なんとも心が暗~くなるような事件ばかりです。

アメリカにおける、ライフルやピストルを使った射殺事件自体は、以前にも数回起こっているので、それほど目新しいものではありませんが、韓国人学生が射殺犯人ということで世界中のマスコミが取り上げています。 犠牲になった方たちは本当に気の毒ですし、犠牲者の家族にとってもそれは取り返すことの出来ない大きな損失というか、悲しみだと思います。
その一方、そんな状態になるまで周りの者が何もしなかった(出来なかった?)、という社会環境にもLobyとしては目を向けたいと思います。

犯行を糾弾して、原因はどうだこうだと議論することは誰でも出来るし、メデイアもさかんに専門家などの意見などを紹介していますけど、将来のある一人の青年を誰も救うことが出来なかった... 
こういう社会に、今、我々は生きているわけです。

話し変わって、Lobyは今、ブラジルの日本移民の歴史をジャーナリストの目で見て綴った、「百年の水流」という本を読んでいます。著者は外山脩さんという、元S新聞の記者だった人だそうですが、800ページという分厚い本ですが、初期のブラジル移民からの歴史(知る人はきわめて少ない)を書いたものでたいへん興味深い内容となっており、ブラジルの日系社会でも好評となっています。
その本の中では、初期の日本人移民は、当然のようにほとんどの人がブラジルの言語であるポルトガル語が分からなかったのと、風俗、労働条件などまったく違うブラジルという国で、数少ない自分たちを守るために、よく団結し、お互い助け合ったというのです。また、そうしなければ生き残れなかったのでしょう。

なぜ、この本の話を持ち出したかというと、バージニア工科大乱射事件の犯人の韓国人学生も、もし、昔のブラジルの日本人移民たちのような、お互いかばい合い、助け合う社会の中で生きていたら、このような惨事を起こさなかっただろうと思うからです。

また、いつも思うことですが、メデイア(マスコミ)は、市民である我々が気をつけないと、我々が持っている考え・意識というものを歪める方向にもって行くということです。
たとえば、古いことわざですが、『兵士が戦争で100人敵を殺したら英雄で、普通の市民が人を一人殺したら殺人犯』という言葉があります。 それは、一人の外国人学生が30数人をピストルで射殺したというのは大事件ですが、米軍がイラクやアフガニスタンで何百人、何千人という、通称、テロリストを殺しても大事件とは言わないし、マスコミも大きく騒がない。 ここで考えなければいけないのは、バージニアの大学で殺された学生や教授たちにはそれぞれ家族がありますが、アメリカがテロリストと名付けて殺している人たちにも、それぞれ家族があるということです。 誰が正しいのか、間違っているのか。 何を基準にして、誰に判断をする権利があるのか... 難しい問題です。
マスコミは、一般的に商業主義をベースとしているから、売り上げが増えるように、視聴率が増えるようにめぼしい事件を鵜の目鷹の目で探しており、格好の事件があると、ワッとまるで禿げたかのように群がり大々的に報道します。
 
そして、それらの報道を見て読む市民は、その殆どが疑問も持たずに受け入れるのです。 
なぜ、Lobyがこんなことを書いているかといえば、最近、日本の外務省かどこかが調査会社に依頼して行った、『日本人の対ブラジル観』というような調査の結果では、日本人の大半がブラジルに対して関心・興味を持ってなく、中にはブラジルに対してネガチブな考えを持っている日本人もいるらしいのです。
そして、そのようなブラジル・ネガチブイメージを持っている人の多くは、今年の初め頃から、日本のマスコミで大々的に取り上げられた、ブラジル日系人の犯罪者関連報道に影響されているようなのです。
これは、Lobyのようにブラジルに住む人間にとって、とても残念なことです。
ブラジルに一度でも来て、こちらの日系人社会の人&ブラジル人と知り合ったことがある人は、日系ブラジル人もブラジル人も、とても人なつこく良い人が多いということを知っているはずです。
それは、ブラジルにも日系社会にも悪い人はいますけど、日本だって、どこだってそんな人間はいます。
だけど、ブラジル日系人の犯罪者の事件が、連日マスコミで過大報道されたおかげで、日本人の対ブラジルイメージが悪くなり、そのとばっちりを食っているのは、ブラジル人であり、ブラジルの日系社会であるということです。

「百聞は一見にしかず」とのことわざがあるように、報道をぐのみしないで、もっと真実、事実を私たちは知らなければなりません...


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たえり

ほんとうに、日本から距離をおくと報道がいかに恣意的な物であるかがよくわかりますね。

日本のニュースは先ずネットで見ます。ネットではすべてのニュースがほぼ並列に現れます。こちらで興味深く呼んだ記事、さて新聞が到着してじっくり見ようと思うとみつからないほど小さな記事だったり、逆に流した見出しが一面トップであったり。
ほんとうに、報道のフィルタを通して入る情報はすべて加工品。

でも私は自分の五感のみで、事実から真実を知る能力を持っている
自信はありません。すべて表がある物には裏があり裏の反対は表というし。しかし自分の頭で考えること、いろいろな事を感じること、この二つはボケるか死ぬまでやめたくないしやめさせられたくないと思います。
by たえり (2007-04-20 08:08) 

megumi

アメリカでの韓国学生銃乱射事件、この報道を聞いて私の友人(ブラジルに移民して、その後アメリカに30数年住んで居た人)が、即座に
「これは、人種差別が原因でこういう事が起こったんだよ!」って教えてくれました。
アメリカは、表向きは人種差別など無いように装っているけど、本当はひどい人種差別のある国だそうです。
白人以外、すべて差別を受けているそうで・・・(日本人を含む)
それでも、日本のマスコミはかなりアメリカ寄りの報道をし、アメリカの国自体の犯罪については、見て見ない振り!

日本に住んでいるブラジル日系人の報道にしても、偏った報道で、あれじゃブラジル人に対して悪い印象しか残さない!
昔、ブラジルで日本人がどれだけお世話に成っている事か!
そう言う事を、国民に教えない日本!

本当に、真実を見極める目を持ちたいですね。
by megumi (2007-04-20 14:13) 

Loby

たえりさん、Megumiさん、貴重なコメントありがとう。
たしかに、マスコミの流す情報の中から、真実を見つけるというのは並大抵ではありませんね。だから、正確で歪んだ報道をしないメデイアにふだんから触れる必要があるのでは...

アメリカでの人種差別にせよ、日本での差別(信じられないことですが、今でもあるのですよ!)、ブラジルでの差別(やはりあります)にせよ、すべては私たちが知らないうちに自分の中に作った“偏見”から出ているのですよね...

たえりさんの言うように、物事を裏から、相手(被害者、弱いもの)の立場から見ることが大事ですし、Megumiさんの言うように、真実を見極める目を持つことが大切ですね。
by Loby (2007-04-21 00:04) 

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