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リアステイック [映画&DVD]

リアリスティック【realistic】

意味:1 対象をあるがままに写そうとするさま。写実的。「―な絵画」。2 現実主義的。現実的。「力関係を―に見きわめる」。(「デジタル大辞泉」より)


映画大好きなLobyですが、最近、いや正しくはかれこれ4、5年?映画館に行った覚えがありません[たらーっ(汗)]
映画の衰退が言われ始めてかなりになりますけど、映画をもっと観て映画界の応援(?)をしたいと思う反面、[CD]レンタルDVDの手軽さ… ←これも最近は動画サイトにとって替わられつつありますが…
まあ、人間って、身勝手なもので、家から出なくて済み、おまけに居心地のよい(?)自宅のソファーの上に寝転がって映画作品を楽しめるというのは、本当に抵抗しがたい快楽(?)です。


戯言はさておいて、今日は最近見たたいへんリアステイックな作品をふたつ紹介します。

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アルゴ(Argo 2012年米国)

CIAの救出作戦


 『アルゴ』は、1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材とした、ベン・アフレック監督・主演の作品です。30数年前のことなので(とくに直接関係のなかった日本人にとっては)記憶も薄くなりつつある事件ですが、当事国であった米国にとっては軍事力をもってした『イーグルクロー救出作戦』の失敗と444日にわたって米国大使館員とその家族がイラン過激派グループによって人質として拘留されたという恥は米国民にとっては忘れることの出来ない歴史の一コマでしょう。

あらすじ

『アルゴ』はそのイラン米国大使館人質事件の最中に、CIAがカナダ大使館が協力しあって米国大使館員6人を無事救出したエピソードを映画化したもので、(以降ネタバレありなので読みたくない方はスルーしてください…)CIAは救出作戦の立案・実行要員にトニー・メンデス(ベン・アフレック)を任命。トニーは6人を救出するために『アルゴ』という架空のSF映画制作をデッチ上げて、6人をその架空の映画製作のスタッフになりすまして国外へ逃亡させることを計画。トニーはイランに密かに入国し、カナダ大使公邸に隠れている6人と会い、脱出作戦を説明し、(偽物の)映画制作スタッフに成り切ることが脱出計画の可否を決めることを告げる。大使館員6人は偽物の映画制作スタッフになることにためらいを感じるが、ほかに方法がないことを悟り、懸命に脱出の準備を始める。しかし、イラン側も薄々とカナダ大使公邸に米国外交官がかくまわれていることを察知しつつあり、発覚・逮捕は時間の問題だった。
脱出は緊急に行われなければならなく、脱出の途上で6人のうち一人でも見破られれば全員捕まってしまうことになる。そして脱出作戦は実行に移された。



      


と以上のようなストリーですが、ラストのテヘランの空港からトニーと6人がチューリッヒ行きの旅客機に乗り込もうとする時に3つの難関― 一つ目は空港内にいるイラン兵、2つ目はイラン人逃亡者や米国政府関係者の国外脱出を阻止する出国管理員、そして最後が一番厳しいイラン革命防衛隊のチェック ― を通過するシーンでは、実際に自分はその場にいないのですが、まるで6人の米国大使館員がそうなったであろう、胃が痛く[ふらふら]なるほどの緊張の連続でした。




『アルゴ』は、ゴールデングローブ賞のドラマ部門作品賞と監督賞のニ部門で受賞。第85回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、編集賞を受賞を受賞していますが、政治的な意向がかなり反映されると噂されるアカデミー賞はともかくとしても、観るもの意表をつくストリーと展開は十分に楽しめます。


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ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty 2012年米国)

BL暗殺計画


 これは一昨年の2011年に起こったオサマ・ビンラディン暗殺事件をベースに制作されたもので、当時、大きくマスコミで取り上げられ話題になりましたので記憶に新しいと思いますが、映画では前述の『アルゴ』同様、その裏で活躍したCIAの活動をテーマにした作品となっています。

      



あらすじ

 9.11全米同時多発テロ事件以来、このテロ事件を計画実行したアルカイダのリーダーであるによるその張本人である米国が総力を上げてシラミ潰しに探し回り、その挙句アフガニスタンにまで侵攻することになっオサマ・ビン・ラディンの行方をCIAは必死に探索していた。 そのCIAでもっとも重要な役割を担っていたのが情報アナリストだった。 マヤ(ジェシカ・チャスティン)は、”キレ者”の女性アナリストとして、アフガニスタンに派遣されアルカイダ幹部の情報収集・分析チームに加わることになる。

CIAはアルカイダの幹部、つまりビン・ラディンに近しい者を追跡することでビン・ラディンの居場所を突き止めようとしていたのだ。しかし、巨額の予算を投入し捜査を続けるが思わしい情報は入らず10年の月日が過ぎていった。その間もアルカイダは世界各地で流血テロをくり返し続け、その中には、CIAの貴重な要員であるベテランの情報アナリストたちを自爆テロで失ってしまうという大きな痛手もあった。そしてその中にはマヤの親友であった女性アナリストもも含まれていたのだ。 マヤは親友の復讐を誓って、もうほとんど病気とも言える執念でビンラディンを追い続け、彼の密使役を務める男を特定することができる。マヤはその報告の説明もかねてCIA本部へ帰るが、CIA長官も参加した会議で密使役の男が出入りしているパキスタン周辺のアボタバードの屋敷にオサマ・ビン・ラディンがいる確率について、CIAの職員たちは60パーセントしかないと結論づけていた。

しかし、マヤはCIA長官の問に対して確信をもって「彼は100パーセントそこにいる!」と断言する。 そして2011年5月2日、米海軍の精鋭部隊「ネイビー・シールズ」が闇に紛れて、ステルス型UH-60 ブラックホークヘリコプター2機とCH-47 チヌーク2機に分乗してビン・ラディンが隠れていると見られる場所へと向かった… (ゼロ・ダーク・サーティ公式サイト



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 『ゼロ・ダーク・サーティ』は、『ハート・ロッカー』でアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督の作品ですが、この作品を見て強烈な印象を覚えるのが、女性の”粘り強さ””忍耐力”です。 ジェシカ・チャスティン演ずるCIA情報アナリストのマヤは、高校卒業後すぐにCIAに入局し、以後(現在も?)、ずっと地道なテロリストたちを(情報だけで)追い続けて来た執念。これは男性だったらとてもやれない事で、女性だからこそできたのだと思います。 パキスタンに(違法)侵入し、ビン・ラディンを(違法)捕獲・暗殺作戦「Operation Neptune Spear(海神の槍作戦)」を実施するにあたって、CIA長官レオン・パネッタはオバマ大統領の承認を得なければならないのですが、マヤの「彼(ビン・ラディン)は100パーセントいる!」という確信を根拠にオバマ大統領に作戦の承認を要請するわけですが、ここにもパネッタ長官のベテラン女性アナリストへの絶対の信頼が見られます。まさしく(ビン・ラディン暗殺の是非は別にして)女性なくして成功しなかったといえる作戦でしょう。

BL暗殺計画1



 先に揚げた『アルゴ』にせよ、『ゼロ・ダーク・サーティ』にせよ、実際にCIAが直接関与した事件だけにたいへんリアステイックです。 ちなみに『ゼロ・ダーク・サーティ』という題名の意味は、「深夜・真夜中・闇夜・早朝」を表す俗語で、米国軍隊では、午前0時30分を意味する専門用語であり、ビン・ラディンの捕獲・暗殺をするために送り込まれた米海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ」がビン・ラディンの隠れ家を強襲した時刻を意味するそうです。

『ゼロ・ダーク・サーティ』は、2012年ニューヨーク映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、撮影賞を受賞しましたが、アカデミー賞はほんのお情け程度の価値しかない「音響編集賞」一つしか受賞していません。これは多分に、CIA要員が捕虜のテロリストたちを拷問したりするシーンがあったため、最初に述べたように”政治的な圧力”があったためとハリウッドの雀たちは噂しているそうです。


ホワイトハウス危機管理室で作戦を見守る政権中枢の面々。
軍事・安全保障問題担当の幹部が顔を揃えている。(Wikipediaより)
Obama_and_Biden_await_updates_on_bin_Laden.jpg




 なお、『ゼロ・ダーク・サーティ』では米海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ」が作戦に参加したとなっていますが、専門家の間では実際に投入されたのは「シールズ」から派生した対テロリスト特殊部隊である「デブグルー」(海軍特殊戦開発グループ)だと指摘されています。「デブグルー」は米陸軍の特殊部隊である「デルタフォース」同様、統合特殊作戦コマンド(JSOC)の指揮を受ける特殊部隊で、選定基準は実戦経験、体力や実射技能、言語能力などで優秀なシールズ隊員。「デブグルー」入隊1年目の訓練は年間365日、休暇が半日2回のみといわれ、海上における船舶強襲、海上油田の制圧、高高度パラシュート降下、そして実射訓練等実戦さながらの訓練が続けられ、とくに射撃訓練にかけては1人が1週間で3000発の弾を費やし、発足時90名が年間に消費した弾薬数はアメリカ海兵隊全体の消費量を上回ったそうです。「デブグルー」は、移動には防弾と武装を施したベンツ、車1台分するチタン合金のフック、ドレーゲル社製の閉鎖式循環呼吸器など当時の最新鋭装備と最高の戦闘技術を持った集団であり、まさに世界最強の対テロ部隊と言えそうです。


ネイビー・シールズが使用したステルス型UH-60 ブラックホーク
勇猛な酋長

 
デブグル部隊
対テロ部隊

鉛筆線

             
いつもご訪問有難うございます♪

 

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コメント 10

Silvermac

良い映画は、矢張り映画館で派、です。
by Silvermac (2013-06-21 05:55) 

すーさん

どちらもステキな作品ですね☆。
できればぼくもスクリーンで観たいです♪。
by すーさん (2013-06-21 06:03) 

moz

どちらも実話を元にしているから、迫力ありそうですね。
アルゴはこの前レンタルしようと思ったものです。他にみたいもの(アニメです ^^; )があったのでやめてしまいましたが、今度DVD 借りてみてみたいと思います。
映画、面白いですよね。 ^^
by moz (2013-06-21 06:24) 

駅員3

どちらも観てみたいですが、特に「ゼロ ダーク サーティー」を観てみたいです(^^)
by 駅員3 (2013-06-21 06:55) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

映画館は何時行ったのかなぁ~。。
と言うくらい行っていませんね。
いつもDVDで終わってしまいます。
by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-06-21 21:22) 

perseus

こんばんは。
個人的に緊張しながら見れる映画が好きなので、
ゼロ・ダーク・サーティって見てみたいです。
できれば、夜に部屋の明かりを消して、臨場感を
感じつつなんてできれば面白いな~っと思ったりも^^

おかげさまで、少しずつですが回復しております。
ボチボチになりますが、訪問させていただきます。
by perseus (2013-06-21 21:47) 

Loby

>Silvermacさん、そうですね。映画館は大画面で音も迫力ありますからね♪

>すーさん、2つとも見られました?
 映画館からはますます足が遠のきつつあります。
 そのうち、50インチのTVなど買ったら、もう絶対に行きませんね^^;

>mozさん、実話を元にした作品はいやでもリアル感がありますね。
 『アルゴ』は胃が痛くなるほどの緊張感があるのでお勧め(?)です。
 ぜひご覧になってください^^b

>駅員3さん、『ゼロ ダーク サーティー』は、作戦が実施された時にニュースにもなったくらいですから、その裏を知るという意味でもたいへん興味深い作品です。

>なんだかなぁ〜。横 濱男ですさん、あはは。私とあまり変わりませんね^^; やはりDVDは好きな時に見れるというメリットが大きいですね。

>perseusさん、こんばんは。
 本当にお久しぶりですね。
 『アルゴ』も『ゼロ・ダーク・サーティ』もお勧めです。
 見た後でも緊張の後味をたっぷりと味わえますよ^^;
 復活できてよかったです。
 でも、あまり無理をしないように…


 
by Loby (2013-06-22 21:52) 

kuwachan

こんばんは。
「ゼロ・ダーク・サーティ」は見損ねてしまったのですが
「アルゴ」は観ました。
特に最後、結末はわかっていてもハラハラドキドキしました。
役者さんと実物の人がそっくりでびっくりしました^^

by kuwachan (2013-06-23 00:29) 

PATA

最近こういう映画観ていないので
出来ればスクリーンで観たいですね。
ハラハラドキドキしそうです。
by PATA (2013-06-23 16:18) 

Loby

>kuwachanさん、こんばんは。
 ゼロ・ダーク・サーティもぜひご覧になることをお勧めします。
拷問シーンがあったりするので、少々強烈ですが、ストリー全体の構成はとてもよく、たっぷり楽しめます。
 アルゴは心臓が弱い人はラストの方は見ない方がいいかも?^^;

>PATAさん、サスペンスがお好きな方やスパイものがお好きな方にぜひ観て頂きたい作品です^^b
 DVDでも結構楽しめますよ。



by Loby (2013-06-24 20:38) 

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