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世界最大のカーニバル Part 1 [ブラジル雑学]

ブラジルは世界最大のCarnaval ― カーニバルの国

そのブラジルのカーニバルが近づくにつれて、外国のマスコミでもカーニバルの特集をし始めました。

今日も日本の公共TV局N◯Kでもレシフェのカーニバルの特集をやっていましたが、知識不足か、それともカーニバルのことをあまりよく知らない人がNKのレポーターに説明をしたのか知りませんが、おかしな説明をしていました。

たとえば、レシフェのカーニバルについて、何回も何回も「レシフェのカーニバルのパレード」と言っていました。でも、これは間違っています。カーニバルのパレードがあるのは、(主要なものは)リオ・デ・ジャネイロ市とサンパウロ市でサンボードロモでサンバチーム同士がお互いにサンバ、華麗さ、リズム、ダイナミックさなどをパレードで競うものです。

 リオ・デ・ジャネイロのサンボードロモ(サンバパレード会場)

samb-rj.jpg

 

それに対して、レシフェなどで行われるカーニバルはストリート・カーニバルと呼ばれるものです。
ここで、NHKの間違いを正しながらストリートカーニバルについて以前、このブロックで書いたことを下記します。

 

 ストリートで楽しむカーニバルは、ポルトガル語でも読んで字のごとくカルナヴァル・デ・ルア=Carnaval de Rua(通りのカーニバル)」と呼ばれ、ほとんどの町で行われます。もちろん、中にはオリンダ市(ペルナンブコ州)やサルバドール市(バイア州)などのよ うに100万人とか200万人とかが参加する大規模なものもあります。

当然、このようなストリート・カーニバルは他所からカーニバルを楽しむ(踊る)ため にくる者が大勢参加するのですが、このようなカーニバルでは「トリオ・エレートリコ」と呼ばれる、10万ワットから15万ワットの出力をもつアンプと大ス ピーカーを搭載した移動ステージとでも言えるものが使われ、人気アシェー・シンガーが「アシェー(Axe)ミュージック」と呼ばれる、テンポの早いリズム 感のある曲を歌い、群衆はそれに乗って踊る(たんにぴょんぴょん跳ぶだけ?)のです。

 

トリオ・エレートリコの周りでカーニバルを楽しむ群衆(サルバドール市)
トリオエレートリコ.jpg

サルバドール.jpg




ス トリート・カーニバルは、ところによっては”ブロッコ=Bloco”(正式名称はブロッコ・カルナヴァレスコ=Bloco Carnavalesco)と呼ばれる、半組織化された、同一のユニフォーム、または自由な服装を着た集団によって行われる場合があります。

ブラジルで有名なのは、レシフェ市(ペルナンブコ州)のガーロ・ダ・マドロガーダ=Galo da Madrugada(夜明けの雄鶏)と呼ばれるブロッコで、2009年にはなんと150万人がこのブロッコでカーニバルを楽しんだというからものすごいも のです[あせあせ(飛び散る汗)]

ちなみに、このガーロ・ダ・マドロガーダはギネスブックにも”世界最大のブロック”として登録されているとか...
こ のようなブロッコでカーニバルを楽しむ人たちのことをフォリオン=foliãoと呼びますが、ブロッコによっては、おなじ衣装を着て楽しむ場合もあり、こ の場合は2万円なり、3万円なりのブロッコ入会費のようなものを支払わなければなりません。 この費用は衣装費とかが含まれていますが、早く言えば”カー ニバル遊び料”みたいなもので、毎回(毎年)払わなければ参加できません。

雄鶏のシンボルをかかげて通る世界最大のブロッコガーロ・ダ・マドロガーダ(オリンダ市)
ペルナンブコ01.jpg


オリンダ市のストリート・カーニバルペルナンブコ03.jpg


 

ということで、ストリートカーニバルについての説明が終わったところで、ブラジルのカーニバルの歴史について述べます(以前書いた記事の転載です)

 

 


カーニバルの歴史

 カーニバルの起源(ルーツ)は、春の儀式を行なっていた古代ローマ人とギリシア人に遡ります。 一説によれば、カーニバルの語源は“carnem levare=肉を絶つ”であり、それが時代を経て11世紀から12世紀に“carne vale=肉よさらば”と変わり、四旬節(ブラジルではクヮレズマ=Quaresmaと呼ばれる)、つまり肉食が禁じられた時期に入ったことを示す言葉となったようです。
興 味深いのは、中世においてカトリック教会は全ての異教徒を抑圧しようとしましたが、この儀式のためにうまくいかなかったそうです。 それ故、神への感謝の 行事として、カトリック教はカーニバルの儀式を教会暦に取り入れるようになりました。 カトリック教会が異端の宗教のスタイルとか祝日を取り入れるという ことは別段目新しいものではなく、外国の風景をみればイスラム教風のドーム式屋根をもつカトリック教会が見えますし、クリスマスも異教の祭日にキリストの 生誕日を合わせたことは周知の事実です。
カトリック教会は、カーニバルを暦に導入するにあたって、厳しい断食、または肉食が禁じられる「四旬節」の期間を迎える前に”代償的”に楽しめるイベントを大衆にあたえようと考えて導入したそうです。

ポルトガル王家一族はナポレオンの侵略から逃れ、1808年に植民地であったブラジルに移った

王家のリオ着.jpg


リオデジャネイロに到着したポルトガル王家の人々

王家のリオ着2.jpg



ヨーロッパの国々、特にフランス、スペイン、ポルトガルは、パーティを催したり、仮装をしたり、通りで踊ったりしてこの儀式を祝いました。 これらの国々は植民地大国であったので、この伝統は「新世界」へともたらされていきました。
ブ ラジルの場合は幾分異なり、ブラジルを発見し植民地化したポルトガル人自身がお祭り騒ぎを好んでいたこともあり、彼らは「エントゥルード (Entrudo)」というお祭をブラジルにもたらしました。 とくに黒人奴隷たちは顔に小麦粉を塗りつけ、農園主から古いかつらやボロボロになったシャ ツを借りて、水や小麦粉やおしろいなどをお互いの顔めがけて投げあい三日間ドンチャン騒ぎに興じたのです。 農園主の多くは、この間、奴隷たちが自由に行 動することを許し、祭を楽しむことを認めたのです。それは、一年に一度、日ごろのフラストレーションを晴らす機会をあたえ、それでもって奴隷が重労働で働 かせられる農園から逃げだすことを食い止める手段になったからだそうです。
一説では、ブラジルでカーニバルらしいものが始まったのは、1808 年にポルトガル王家がナポレオンから逃れてブラジルに到着した時、ブラジルに住んでいたポルトガル人たちが仮面をかぶり派手な衣装をつけ音楽を鳴らして町 中を練り歩き歓迎したことが始まりだとする説もあります。

カーニバルに山車が登場するのは1786年にドン・ジョン王の結婚を祝って作られたのが始まりだといわれています。
しかし、19世紀前半までの カーニバルは、ブラジルのあちらこちらの町の通りで、「灰色の水曜日」(カーニバル後の水曜日でこの日から四旬節が始まる)までの3日間、かつらや仮面を つけて、悪臭を放つ水をかけたり、小麦粉やタピオカ粉をお互いに投げつけあったりあったりする、騒がしくてかなり汚い、あまり趣味がいいとは言えない祭り でした。 ひどい時は放火までもが余興のひとつとして行なわれたといいます[たらーっ(汗)]   



顔に小麦粉やタピオカ粉をぬってカーニバルを楽しむ黒人奴隷たち(ジャン・B・デブレ作)


mukashi.jpg

一 方、白人たちは、家の中でオレンジ玉― 小さなオレンジの形をした蝋作りの玉の中に香水混じりの水をつめたもので、当たると割れる― を投げあったり、ま たは窓から通行人の頭に降水混じりの水をかけたりして遊びました。そのため金持ちたちは水や粉をかけられる街や通りを歩くのをさけて、ポルトガル王国など で半ば伝統のようになっていた仮面舞踏会などを邸宅で開いていました。
ちなみに、当時、カーニバルで演奏されていた曲はワルツ、ポルカ、マシェシェ、マズルカなどの曲でした。

1840 年台になるとカーニバルは一変します。 リオ・デ・ジャネイロの『イタリア・ホテル』の持主の夫人が、友人、知人、顧客などを招待するとともに、演奏家た ちを雇い、飾りリボンや紙ふぶきを持ち込んで、豪華な仮装舞踏会をホテルの大広間で開催したのです。 これはたちまちブームとなり、中流階級もこぞって同 じようなスタイルの室内カーニバルとでも言えるものを劇場やホテルの大広間で開き始め、数年後には仮装舞踏会が上流階級のカーニバルの主流となりました。
一 方、新聞を主とするマスコミは、下流階層が参加するカーニバルが、昔のローマやベニスのように、街の中で仮装をつけ、コンフェッテ=confete(紙吹 雪)をかけあう、エレガントなカーニバルの復活キャンペーンを始めました。この新聞社のキャンペーンは成功し、それまでの乱痴気騒ぎ的なエントゥルード (Entrudo)は自然消滅していき、街の中の通りで誰もが楽しく遊べる大衆のお祭りとなり、現在のカーニバルの原型となりました。

 《続きは次回です》

 

 
 
 カーニバルの心に残るシーン
 
porte_la-23.jpg

 

 

porte_la-26.jpg

 

porte_la-mus4.jpg

 

 

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1-peruc-mus1.jpg

 





世界最大のカーニバル Part2を見る



今日もご訪問有難うございます♪


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あしあと 162

コメント 18

rabbit

リオのメイン会場のすごさ、さすが世界一ですね。我が国のリポターはもっと勉強して取材してほしいです。
雄鶏のシンボルをかかげて通る世界最大のブロッコガーロ・ダ・マドロガーダを先日TVの特集で観ました。こんな素晴らしいカーニバルもあるんですね。

by rabbit (2012-02-05 17:11) 

nana_hyr

ひいた画像でも人手の多さがわかりますね~。
動画拝見しました。
けっこう、いろんな衣裳の方々がいて面白い!!
次回楽しみです(o´艸`o)

(当方、誤解を招く記事になってしまったかも?
ロンドン・ロゴはTOMATO製作ではありません^^;
全く無関係の方なのです、失礼いたしましたm(_ _)m)
by nana_hyr (2012-02-05 18:53) 

Azumino_Kaku

こんにちは、
こちらでも浅草などでもカーニバルがありますが、本場のカーニバルは迫力が違いますね。
一度でいいので、この目で現地で見てみたいと思います。
踊りの中に、この世に生を受けたものの喜びが炸裂していますね!
by Azumino_Kaku (2012-02-05 21:29) 

Loby

>rabbitさん、リオはカーニバルパレードのメッカですから、サンボードロモの規模もおそらく世界一だと思います。
レシフェのブロッコ・ダ・マドロガーダは文句なしに世界一のストリートカーニバルですね^^b

>nana_hyrさん、カーニバルは動画でもその情熱と楽しさが伝わってきますね^^

あ、ロンドン五輪のロゴはTOMATO製ではありませんでしたか。すみません、どうやら私が勘違いをしたようですm(__)m

by Loby (2012-02-05 21:32) 

麻能

2つのブログ両方にご訪問&コメント、ありがとうございました。

サンバカーニバル、凄いとは聞いていましたが、凄いなんてものじゃないですね。
1度生で見てみたい、と思いますね。
見ることより、その場の空気を体感してみたいです。
by 麻能 (2012-02-05 22:32) 

mizuho

コメント、ありがとうございました。

本当に、壮大なお祭りですね~。
肉を断つ前のお祭りがカーニバルの起源だとは、
ちょっとびっくりでした。
続きを楽しみにしています!

私の仕事は、資格受験の講師で、合格してもらうことは大きな目的ですが、仕事への思いは、その先にあります。
本当は、勉強をする過程で得ることの方が大きい。
その後の人生で役立つことが多々あると思っています。
それは、私自身がそうだったからなのです。

by mizuho (2012-02-05 23:17) 

Loby

>麻能さん、ご訪問有難うございます。
 世界最大のカーニバルと聞くだけでワクワクしますね。
 なんでもやはり体感・経験することが大事ですね^^

>mizuhoさん、貴女のような生徒の将来を思って教える教師というのは現在では少ないのでは、と思います。
サラリーマン教師がほとんどを占めると思われる時勢の中で、mizuhoさんのように熱心に生徒たちの幸福を願い教育に尽くす人がいるということを知っただけでもたいへん嬉しく感じました。教師というのは、幼稚園~大学までたいへん重要だと思います。
現場はそれほど簡単ではないというのも想像がつきますが、真剣に立ち向かっている教師たちの姿は尊いです。

by Loby (2012-02-05 23:34) 

yomogi

Lobyさん、こんばんは☆

いやぁ、あのカーニバルの群集の画。
"すごい"を通り越して、"恐ろしい"ですね~。
でも、本当に素晴らしいです。

踊り好きなyomogiとしては、
いつか行ってみたい場所のひとつですね!!

そうそう、今日タコ取ってきました。
スッキリです!!(●^o^●)
by yomogi (2012-02-06 00:33) 

銀狼

私の貧弱なボキャブラリーでは
「スゴイ」としか言いようがありません!
俯瞰で観ている画像の人の多さにも圧倒されますが、
これだけの大人数の中でも皆さん心から楽しんで
いらっしゃるんですね^^
血沸き肉躍る・・・って感じを受けるのですが、
その起源が「肉を断つ」ものだったとは・・・
by 銀狼 (2012-02-06 01:17) 

Loby

>yomogiさん、こんばんは。
 ブラジルのカーニバルは、まさしく熱狂的なお祭りです。
 カーニバル中、みんな”この世”(現実)のことを忘れて踊り楽しむのです^^; yomogiさんも踊りが好きでしたら、いつかサンバを踊りに来てください♪

 あ、タコとりました?
 目の上のこぶではありませんけど、タコって気になりますものね。とれて良かったですね^^b

>銀浪さん、スゴイ、すごい、凄い…
 私もこれくらいしか表現できません^^;
 カーニバルは”肉を絶つ”目的ではじまったものらしいですけど、今では返って煩悩に悩まされそうです^^;


 
by Loby (2012-02-06 02:30) 

セイミー

先日はご来訪いただき有難うございます
by セイミー (2012-02-06 09:15) 

岩崎ナギ

もの凄い光景ですね!
あまりの迫力と文化差に圧倒されました。
映像だとよく伝わりますね。
by 岩崎ナギ (2012-02-06 10:34) 

サンダーソニア

怖いくらいに盛り上がるようですね。@@
by サンダーソニア (2012-02-06 10:55) 

rtfk

素晴らしいお祭りですね^^)
魂の解放! そんな感じがします♫
日本ではあそこまでの明るさや派手さは無理でしょうね~(^m^)

by rtfk (2012-02-06 13:51) 

駅員3

本場のカーニバルを是非とも見てみたいと思いますが、なかなか実現は難しそうです[冷や汗][揺れるハート]
by 駅員3 (2012-02-06 13:59) 

Loby

>セイミーさん、ご訪問&あしあと有難うございます。

>岩崎ナギさん、カーニバルパレードもストリートカーニバルも、
 想像を超える盛大さと賑やかさです^^b

>サンダーソニアさん、一年に一度のビッグお祭です^^

>rtfkさん、ブラジルが世界に誇れるお祭りです。
 ”魂の解放!”、まさしくピッタリの言葉ですね。
 やはりこの明るさ、賑やかさはラテンアメリカ独特のものでしょうね^^

>駅員3さん、そうですね。なんと言っても遠すぎるし、航空運賃も高すぎますものね^^;

by Loby (2012-02-06 21:28) 

まる

 こんにちは。
 いつも訪問していただいて、ありがとうございます。
以前からLobyさんのブログにアクセスしているのですが、
PCが固まってしまってお邪魔することができませんでした。
 職場のPCからアクセスしてみたらお邪魔できたので
よかったです。

 ブラジルのカーニバルの長い歴史を知ることができました。
豪華な衣装と、にぎやかな演出、
ブラジルで本物を見たくなりました。
by まる (2012-02-09 13:17) 

Loby

>まるさん、こんにちは。
 いつもご訪問頂き有難うございます。
 おうちのPCからはアクセスが難しいのですか…
 それは困りますね。ソネブロは最近重いから、そのせいでしょうか。
 ブラジルのカーニバルの歴史は興味深いです。
 読んで下さり有難うございました。
 これからもよろしくお願いします。

 
by Loby (2012-02-09 20:19) 

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