フリーダム・ライターズ [映画&DVD]
今日はまた映画(DVD)の話しです。
今回借りた(大体、一度に4枚ほどレンタルします)の中に、思わぬ収穫がありました。
うちの近くにあったレンタルDVD屋さんが災難続きで閉店(関連日記)したので、ちょっと遠いところにあるレンタル屋さんでDVDを借りるようになったのですが、この新しいレンタル屋さんのDVDの在庫の中に『フリーダム・ライターズ』という作品がありました。
『フリーダム・ライターズ』(原題:Freedom Writers)は、米国でベストセラーとなった実話をベースにしたノンフィクションの映画化作品(2007年)ですが、ちょっと『いつも心に太陽を』(原題:To Sir, with Love。1967年)を思い出させるような学園ドラマです。
主演は、アカデミー主演女優賞を二回も受賞していながら、(Loby的には)あまり注目されてないヒラリー・スワンクが好演しています。
映画 『フリーダム・ライターズ』の概要
原題: Freedom Writers
監督・脚本: リチャード・ラグラベネーズ
製作: ダニー・デビート、ステイシー・シェア、マイケル・シャンバーグ
原作: エリン・グルーウェル、「フリーダム・ライターズ」
製作国: 2007年アメリカ映画
上映時間: 123分
”The Freedom Writers Diary”の原書
キャスト
エリン・グルーウェル:ヒラリー・スワンク
スコット・ケーシー: パトリック・デンプシー
スティーブ・グルーウェル:スコット・グレン
マーガレット・キャンベル教科主任:イメルダ・スタウントン
アンドレ:マリオ
エバ:エイプリル・リー・エルナンデス
マーカス:ジェイソン・フィン
ベン:ハンター・パリッシュ
グロリア:クリスティン・ヘレラ
ジャマル:ディーンス・ワイアット
ティト:ガブリエル・チャバリア
ミゲル:アントニオ・ガルシア
ブランディ:ヴァネッタ・スミス
ざっとあらすじ
物語は1994年、ロス暴動(1992年)直後のロサンゼルス郊外、人種が激しく対立し、ドラッグとナイフと銃がはびこる、ウィルソン公立高校で始まる。低所得者層の多いこの地域では、貧困による憎悪と犯罪の中、15歳にして出口のない日々を送る子供たちは、卒業まで"生きて"いられれば、それで十分と思っていた。荒れ果てた教室では授業もままならず、ほとんどの教師たちは彼らを見捨てていた。
そんな中で、もっとも落ちこぼれ教室である203教室一年生の担当として新米国語教師のミセス・エリングルーウェルが就任する。若いだけで教師経験のまったくないエリン。しかし、若さと情熱をもつ彼女は生徒たちを信じ、彼らに未来の扉を開く鍵をあたえる。それは……書くこと。
エリンは、お互いを知ろうともせず憎しみ合うだけの生徒たちに自費で日記ノートを買いあたえ、自分たちの正直な気持ちを書くことを薦める。最初はバカにして反抗していた生徒たち。しかし、自らの想いを綴ることは自分と向き合うこと- 次第に、荒廃した教室に変化が生まれていく。 ギャング抗争に明け暮れていた彼らは、お互いを知り、理解するようになり、やがて、知ることを通じて大きな夢を抱くようになっていく……。一冊のノートと、そして、教師の全身全霊の愛がやがて多くの生徒たちを救っていく…
エリン先生と生徒たち
Lobyの感想
ざっとこんなものですが、興味深いのはエリンの授業中にある男子生徒がいたずらに同級生を皮肉ったカリカチュア(戯画)がクラス中に回されているのを見つけたエリンは、そのような(他人を傷つける表現の)カリカチュアがもたらす影響について語り、ホロコースト(詳しい内容はこちら)について話すのですが、生徒たちの誰もホロコーストという言葉も知らなければ、どんな事さえも知らない。でも、ホロコーストは聞いたことはないけど、ほとんどの生徒が銃で撃たれそうになった経験があり、また銃弾に倒れた友人や肉親をもっていた。
この厳しすぎる現実の中で生きながらもお互いを尊敬することさえも知らない生徒たちに、エリンはアルバイトした金で買った「アンネの日記」をてあたえ、読むことを通して、尊敬、非暴力、連帯感といった人間が生きる上で重要なことを教えていきます。学校側はエリンの生徒たちを立派に立ち直らせようという努力に冷ややかであり、同僚の教師たちも彼女の熱意に冷や水をあびせるような態度を示す中で彼女は市の教育委員会の理解を得、また父親の協力も受けながらエリン流教育を進めていきます。
さらにサイモン・ヴィゼンタール・センターの寛容博物館などを訪問し、差別が社会に歴史にもたらす影響について勉強し、関心を深めていく生徒たち。エリンはさらにホロコーストの生存者たちと話し合える機会を生徒たちにあたえ、アンネの日記の著者、アンネ・フランクたちの隠れ家での生活を支援していたミープ・ヒースに一人ひとりの生徒が手紙を出すことを提案しますが、生徒たちはヨーロッパに住むミープ・ヒースを招待して話し合うことを逆提案し、そのため必要となる費用を生徒の自発的企画で野外レストラン(屋台?)やコンサートパーティなどを催して集めます。
生徒たちはエリンのインセンティブによって大きく成長しつつあったのです。
そしていよいよミープ・ヒースが203教室の生徒たちに会うためにやって来ました。ミープ・ヒースが一通り、アンネ・フランクとの思い出を語ったあとで、生徒の一人、マーカスが言います。
「ボクは今まで英雄に会ったことはなかったけど、あなたはまさしく英雄(ヒロイン)です」。
それに対してミープ・ヒースは
「いえいえ、私は英雄などではありません。人間としてしなければならなかったことをしたまでです。それが正しいことだったから。」と答えます。
ミープ・ヒース
そして、「私たちはそれぞれ普通のにんげんです。でも平凡な事務員であり、平凡な主婦であり、平凡な若者であっても、それぞれの出来る範囲内で小さなともし火を暗い部屋に点すことができるのではないでしょうか?」
と人間として生きる上でたいへん重要な事を言います。
そして「あなたたちこそ英雄です。毎日を生きている英雄です」と締めくくりました。
このミープ・ヒースの言葉を聞くだけでもこの作品を見る価値があります。
とにかく素晴らしい作品です。
2010-10-22 02:07
あしあと(17)
コメント(8)
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これは面白そうですね
TSUTAYAに探しに行ってみます
by 駅員3 (2010-10-23 21:40)
昔の作品が良い感じです。
急に猿の惑星が見たくなった・・・
by sorasora (2010-10-23 23:20)
≫駅員3さん、たいへん感動する名作です^^
≫sorasoraさん、「猿の惑星」もっていますよ^^
今頃の人気映画で30年、50年後に名作と呼ばれるようになるものが何本あるか…ですね。
≫Liveさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
≫suzuranさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
≫okin-02さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
by Loby (2010-10-24 02:51)
こんばんは。
教育に関して、子供たちを振り向かす方法を
色々と提示してくれているような指南書みたいですね。
by perseus (2010-10-24 02:58)
映画はほとんど見ませんね、時間が無い (>_<)
by y-tanaka (2010-10-24 05:54)
≫perseusさん、こんばんは。 いじめとか教師に対する暴力が残念ながら流行っている日本の学校関係者に是非見て欲しい作品ですね。
≫y-tanakaさん、たいへんお忙しいのですね。
≫モッズパンツさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
≫akaharaさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
by Loby (2010-10-24 09:45)
あらすじと、Loby様の感想から作品のあらましと素晴らしさが分かります。
日本の教師全員に見てもらいたい作品ですね。
私もTSUTAYAに探しに行ってみます。
by 青い鳥 (2010-10-26 13:24)
≫青い鳥さん、一人の勇気ある人間がどれだけほかの人間を、社会を代えれるかと言う好例だと思います。改善、改革は誰かが勇気をもって始めることから始まるのですね。
≫あんずーMさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
by Loby (2010-10-26 22:52)