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火星への有人飛行 [宇宙のロマン]

  前回の続きです。

火星に生命が存在するかどうかについては、昔からいろいろ議論されて来ました。

古くはイタリアの天文学者ジョバンニ・スキャパレリが火星に運河を発見し、火星全体の表面に線状模様があることを発見し、Canali(イタリア語で溝・水路)と記述したものを、カミーユ・フラマリオン(フランスの天文学者)が翻訳する際にCanal(フランス語で運河)と誤訳し、「それは運河である」ということになってしまったそうです。(これには異説があり、フラマニオンは実際に人工構築物が火星表面にあると信じていたという)


人類が火星で知的生物に遭遇する可能性はあるのだろうか?
astronauts_on_mars.jpg


  シンデレラのガラスのシューズと同じですね。

シンデレラのシューズは原作では、velours(ビロード)だったのが翻訳するときに間違ってverre(ガラス)と訳され、あとで間違いに気づいたけどガラスのシューズの方がカッコいいのでそのままになってしまったと言われていますからね。

それで火星の運河の話にもどすと、運河と言えば人工のもので、当然、”知的生物”しか作れないわけです。
”火星の知的生物=火星人” という法的式になって、火星には火星人がいるということになってしまったようです。

運河があると考えられていた時代の火星儀

canal.jpg

また、運河は火星全体を覆うように縦横に張り巡らされており、これほど大規模な施設を建造できるなら、火星人は地球人よりはるかに進んだ文明を持っているという説も出され、当時はかなり議論されたようです。
火星人の存在をもっとも強く主張した科学者の1人が米国の天文学者パーシヴァル・ローウェルで、数多くの精密な火星の運河スケッチを残していますが、20世紀に入り観測技術が進歩するにしたがって”火星には運河はない”と一応ピリオドが打たれたようです。


ローウェルの火星運河スケッチ図
mars_canal.jpg





では、過去において幾人もの天文学者が観測し、スケッチ(当時は写真撮影が困難だったため)まで残した運河のようなものはなにか、という問題になりますね。 火星観測が頻繁に行われ始めた19世紀の天体望遠鏡の性能は当然精度が良くなかったために、火星表面の峡谷や地表の模様が「運河」に見え、これに観測者自身の(火星人が存在するという?)主観をまじえて描かれたというのが真相のようです。


sckech.jpg


当然、火星表面の筋は運河ではない(火星人は存在しない)という考えをもった天文学者もいて、その中にはフランスのムードン天文台のE.M.アントニアジがいて、かなり客観的で精密なスケッチ(写真ではありません!)を描いています。
それにしても、これらのスケッチは何年かかって描いたのか知りませんが、火星表面(模様)の変化はすごいものですね。
自転によるものと思いますけど、たいへん興味深いものです。


E.M.アントニアジの火星スケッチ
Antoniadi.jpg


―∞―∞―∞―∞―∞―∞―∞―


  火星に知的生物がいないとして、月の次に人類が有人宇宙船を送り込むのは火星であり、米国、ロシア、ESA(欧州宇宙機関)などが計画を立てています。
米国は、今年4月にオバマ大統領が2030年代に火星へ有人飛行を送り込む計画を発表しています。


NASAは火星有人探査を目標として原子力推進ロケットを開発中(Credit: NASA
human-mission-mars-nuclear-thermal-rocket.jpg


    ESAの有人火星探査計画
ESA_Mars.jpg


  ちなみに火星の直径は地球の半分くらい、重力は地球の40%ほどしかなく、表面積は地球の約 1/4。
質量は地球の約 1/10 しかありませんが、火星には海がないためその表面積は地球の陸地の面積(1.5億平方km)とほぼ同じです。また、火星の自転周期は地球のそれと非常に近く、火星の1日は24時間40分です。 気温は最高が(赤道付近)27℃程度、最低がマイナス70℃、平均気温が50℃程度なので、大気がないため日中は灼熱地獄(赤道付近で約110度)、夜は寒冷地獄(赤道付近でマイナス170度)という月よりずっとマシです。


ただし問題は距離です。
月までの距離が40万キロもないのに対して、火星までは何ともっとも接近した時(近日点)で約6000万キロ程度、もっとも離れた時(遠時点)には1億キロにもなるため、従来の化学燃料を推進剤とするロケットでは積載する燃料の量も膨大となるほか、燃料効率も悪く、飛行時間を短縮するための大推力も得にくいのです。

distancia.jpg

これらの理由から、火星への有人飛行には原子力推進ロケットが最適と考えられており、先に述べたオバマ大統領の有人火星探査も原子力推進ロケットが使われると予想されています。米国のこの計画はまだ初期段階にあると見えて、NASAのサイトでも火星行き宇宙船の完成想像図といったものはまだ見当たりませんが、概要は推進は原子力エンジン、また乗組員を原子力エンジンからの放射能による被爆から保護するため居住区は原子炉から遠く離れた設計とする必要があるため、米ニューメキシコ大による設計例では全長約100メートル、重量約400トンという巨大なものになっています。
あまりにも巨大なため、パーツを打ち上げて宇宙空間で組み立てられるようですが、全長100メートル、居住区が原子炉から離れたところにある、宇宙空間で組み立て、などというところは『2001年 宇宙の旅』のディスカバリー号とまったく同じです。これから見ても、いかにアーサー C.クラークに先見の明があったか分かるというものですね。

『2001年 宇宙の旅』のディスカバリー号
discovery2001.jpg

ポジトロンエンジン積載の惑星間宇宙船(Credit: Positronics Research, LLC)
human-mission-mars-positron_ablation.jpg

 また、火星への有人飛行は、原子力宇宙船というハードをクリアするほかにも、往復520日かかると言われる(関連記事)長期旅行における宇宙船乗組員の精神面の健康維持が問題となります。すでにロシアでは今年6月より6人の男性を520日間にわたって模擬宇宙船の中に密閉するテスト、「マース500」を開始しました。この模擬宇宙船の居住区のスペースは550立方メートルあるというから大きそうですが、一辺が8メートルにしかならないというから6人(男性ばかり[たらーっ(汗)])が生活するスペースとしては決して大きいものではありません。

Mars500.jpg


     人類が火星の土を踏むのは早くて30年後?
mars_simulation.jpg



 どちらにせよ、人類の火星到着はかなり未来の話しであり、はたして私が生きているうちに達成するかどうか分かりませんが、せめてフィクションの中ででも火星を体験してみようと思います。
 ミッション・トゥ・マーズ』(2000年 米国)は、もう観られた方もいると思いますが、たいへん見ごたえのあるSF映画です。
映画『アポロ13』でも好演したゲイリー・シニーズの演技が光っています[るんるん]

    mission_to_mars_movie.jpg  mission_to_mars_8.jpg


   Mission_to_Mars6.jpg



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あしあと 22

コメント 11

Live

やっぱり遠いですねぇ。
どんだけの食料を積んで行くんでしょうね。
補給船を先に打ち上げて、途中で補給したりするんでしょうか。

by Live (2010-09-12 18:48) 

y-tanaka

火星に行くとか夢みたいですが、 ・・年後は普通だったりして。
by y-tanaka (2010-09-13 05:19) 

webtrue

夢のある話は、大好きです。宇宙にいって見たいですね。
by webtrue (2010-09-13 11:46) 

perseus

こんにちは。
内容を読ませていただくと、火星への有人飛行
の難しさがすごいです。
宇宙飛行士も完全に命がけですね。2030年代、
楽しみです。(結構先ですが・・・)
by perseus (2010-09-13 12:07) 

sorasora

このような挑戦は夢があって良いですね!
見ているほうも楽しみ。
by sorasora (2010-09-13 22:07) 

Loby

≫Liveさん、まだ詳細な計画は決まってないようですが、ロケットエンジンは(燃料重量軽減のため)原子力であることは確かでしょう。往復500日以上というと確かに食料だけでも膨大な量になりますね…

≫y-tanakaさん、そうですね。50年前には月旅行も夢でしたからね。(そのわりに月の開発は進んでいませんね)

≫webtrueさん、はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
こういう話しはわくわくしますね^^
今後ともよろしくお願いします。

≫perseusさん、最大の問題は、いかにして人間を無事に送り込み、無事に帰還させるかでしょうね。ロボットがいかに進歩しているようでも、やはり人間しかできないことがありますからね。それと、やはり未来の火星植民地化も視野に入れなければいけませんし。。。

≫cerulean_blueさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫カオリンさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫hetianさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫cjlewisさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫webtrueさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫cocomotokyoさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫akaharaさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫駅員3さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫*ピカチュウ*さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫私が三人目さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫okin-02さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

by Loby (2010-09-13 22:15) 

瓶太郎

こんばんは
ご訪問ありがとうございました♪
アイコンとブログの内容が不釣り合いですみません(笑)
こちらこそ宜しくお願い致します!
by 瓶太郎 (2010-09-13 22:38) 

げんき

火星に行くのってホントに難しいんですね。
実現が見届けられるかどうかは…
ですが、楽しみですね。
by げんき (2010-09-13 23:26) 

Loby

≫瓶太郎さん、いえいえ、私のアイコン(ウルフ)もブログ内容とまったく不釣合いですのでそういうことには慣れています(?)。
でも、瓶太郎さんはおそらく宇宙関連のものに関心をもっているとお見受けしました^^

≫げんきさん、私も人類の火星到着が見られるかどうかわかりません(><)。せめて目の黒いうちに実現してほしいです。

≫兎座さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫sorasoraさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。


by Loby (2010-09-14 09:56) 

青い鳥

2030年ですか・・・私が生きていても、
火星への有人飛行のニュースを理解出来る状態かどうかが危ぶまれます。
今のうちに夢を見ておこうかな?
by 青い鳥 (2010-09-15 17:01) 

Loby

≫青い鳥さん、20年後ってかなり未来ですよね。。。
実現するものならぜひ見たいですけど、私も生きているかどうか…???

≫けんけんさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。



by Loby (2010-09-15 23:53) 

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