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巨大クラゲとコペンハーゲン環境会議 [環境問題]

 昨日、ブラジルのTVニュースで日本近海で巨大クラゲが増えていると報道されていました。 体重が200キロも300キロもある巨大なクラゲの話しは、ブラジル人にしてみれば驚嘆するニュースです。
このクラゲ、「エチゼンクラゲ」と呼ばれる種類のようですが、大型クラゲの中で代表的なクラゲで、大きいもので体長2メートル、重さ150キログラムに達し、全体の90%以上が水分。中国沿岸の黄海や渤海で発生し、海流に乗って日本海を北上するそうです。

        巨大なエチゼンクラゲ
Nemopilema nomurai.jpg


       漁に大きな被害をあたえるエチゼンクラゲの大量発生
エチゼンクラゲの集団.jpg


40 年以上にわたってクラゲの研究をしてきた、「クラゲ博士」と呼ばれる安田徹博士は、日本近海におけるエチゼンクラゲの大量発生について、「エチゼンクラゲの被害は、じつは今に始まったことではないんです。これまで1920年、 1958年、1995年にも大量発生の記録が残っています。そのデータから、エチゼンクラゲの大量発生は40年周期で起きると考えられていました。ところが2001年頃からは、毎年のように起きている。これは明らかに日本を取り巻く海洋の環境が変化した証拠です」と指摘しています。

エチゼンクラゲは東シナ海や朝鮮半島沿岸で生まれ、イソギンチャクのように硬い岩場などに付着して幼少時代を過ごすし、互いに合体をくりかえしてある程度の大きさになると、今度は直径2~3mmの花びらのような形に分裂して、海を浮遊する生活に入ると言われています。そして、生後たった4~5ヶ月で巨大クラゲに成長するそうです[がく~(落胆した顔)]
「エチゼンクラゲの大量発生について、まだはっきりしたことは何一つわかっていません。ただ、エチゼンクラゲが生育する中国や韓国沿岸の海水汚染が大きな原因の一つと考えられています。経済成長が進む中国から大量の生活排水や工業排水が流れ込み、エチゼンクラゲのエサとなるプランクトンが急激に増えているからです。 また、沿岸の工業化で護岸工事が進んだことも影響を与えていると言われています。クラゲにとって、コンクリートは子供時代を過ごすための“足場”とし最適なんですよ」とクラゲ博士は説明しています。 

また、海を浮遊するエチゼンクラゲのビデオを見て、「クラゲの周りをよく見てみてください。ほら、魚がたくさん群がって泳いでいるでしょう? これはイシダイやマアジ、カワハギといった魚たちです。彼らはエチゼンクラゲの傘の下に隠れて外敵から身を守っていますが、お腹がすくとクラゲの傘を食べたりするんですが、ところが近年、中国による魚の乱獲で、そういったエチゼンクラゲの天敵たちが激減してしまっている。それも大量発生の一因だと考えられているんです」 成長するための足場が増え、天敵もいなくなれば、クラゲにとってはまさに“パラダイス”。 そこでたくさん仲間を増やしたエチゼンクラゲが、対馬海流に乗って日本海にやって来ているのでしょう。 

「ただ、(エチゼンクラゲの大量発生には)地球温暖化の影響も見過ごせません。日本海の水温は年々上がっていますが、それは15℃以上の水温を好むエチゼンクラゲの生育を助長しているともいえますから」とクラゲ博士は述べています。
海洋汚染と地球温暖化。いずれにしても、クラゲの大量発生は私たち人間が招いた海洋環境の悪化に原因がある、とkagakunaviでは紹介しています。

      エチゼンクラゲの動画


ブラジルで報道されている巨大クラゲ関連動画

一方、海洋生物学者であるリチャードソン氏は、「人類による過度な魚獲、およびその他の活動が原因で、地球上のいくつかの海域で巨大クラゲが出現し、その海域の『支配者』となっている」と発表しています。 リチャードソン博士はオーストラリア・クイーンズランド大学の海洋生物学者ですが「海洋の生態システムがクラゲに支配されないよう、対応策を考えなければいけない」と警告しています。リチャードソン氏によると、全世界の海洋でクラゲの数が増加しており、特に東南アジア、黒海、北海、メキシコ湾海域での増加が著しいと報告しています。 リチャードソン氏は、「日本の漁業従事者はすでに、巨大クラゲのもたらす問題に直面している。巨大クラゲは魚網を引き裂くこともできるからだ。日本の近海にはエチゼンクラゲという巨大クラゲが生息している。直径は2メートル、重さ約200キログラムに達し、日本の力士とほぼ同じ大きさだ。このクラゲは世界一の大きさを誇る」と述ています。




環境会議が開かれるコペンハーゲン copenhagen.jpg



今月7日から始まるデンマーク・コペンハーゲンでの気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)に向けて、世界最大の温室ガス放出国である中国は、温室効果ガスの排出量を2020年までに2005年比で400~45%削減するという目標を発表しました。
一方、米国は、温室効果ガスの排出量を2020年までに2005年比で17%削減するとの目標を発表しています。
ちなみに、全世界の温室効果ガス推定排出量288億トンのうち、中国は約61億トンで21%を占めています。 今までトップだった米国は2位で57億トン(20%)。中国の人口は13億強で世界人口の約20%を占めていますから、中国の排出量はようやく世界平均に達したという見方もできますが、問題は90 年代以降の排出ガス増加率です。1990年に約22億トン(11%)だったのが、この17年間で約2.8倍増加ししており、これは同国のエネルギー消費量の増加スピードとほぼ同じです。

COP15は次期環境規制枠組(ポスト京都議定書)について決める重要な会議ですが、当初は中国も米国も〝知らぬ顔”を決め込むつもりだったようです。しかし、世界中の識者およびマスコミが二大温室化ガス排出国の無責任さをこぞって非難したため、急遽会議の直前に相次いで削減目標を発表したという、いわく付きの米中の目標だそうですが、米国の場合、ブッシュ前政権のようにのらりくらりと無責任、無為無策でやって来たのと比較すれば大前進と言えますし、中国の場合も〝経済(GDP)成長”を維持できる範囲内という前提をつけたけど、ようやく本腰を入れて削減対策に乗り出すようです。
それにくらべ、ブラジルはアマゾンという貴重な大緑資源をかかえながら、温室効果ガス排出量は1990年から2005年の15年間で62%増加し、年間13億6千万トンから2億2千万トンと増えたと新聞などで報道されていました。2005年度の世界のガス排出量は50億トンと推定されていますから、ブラジルは実に4.5%寄与(?)したことになります。
ガス排出量増加の原因は、アマゾンを含む森林破壊(90年7千 460万トンから05年1億2千600万トン、70%増)、火力発電の増加(90年比68%増)、それに農業(同41%増)となっていますが、専門家が指摘するのは、ブラジルには水資源は豊富なのに(水力発電をまだまだ増やせる)、どういうつもりかブラジル政府は世界の環境政策から逆行するかのように”汚いエネルギー”と言われる、石炭や重油を使う火力発電をどんどん増やしているということです。
ちなみに、ブラジル政府はコペンハーゲン会議に温室効果ガス削減率39%という大目標をさげて乗り込むようですが、”絵に描いた餅”にならないように祈るのみです。

とにかく、温家宝首相とオバマ大統領が出席するコペンハーゲン環境会議、実り多き会議であることを願っています。

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コメント 11

ayumu

先日は訪問いただきありがとうございます。
COP15ですが、どうなるか分かりませんが京都の時よりも少しでも前進してほしいものです。駆け引きで終わらないよう、各国のTopが次世代の幸福を考えてなんらかの約束をしてほしいです。
by ayumu (2009-12-03 01:02) 

モッズパンツ

オバマ大統領はアフガニスタン増派問題でそれどころではないようですね。こっちの方が人類にとってはプライオリティーが高いことは間違いないんですけどね。w (^ω^)b
エチゼンクラゲ問題は、日本の漁師さんにとって、収入激減の元凶の一つですよね。網の中はバカデカイこの子達がイパーイ入っております。
私達にとっても環境の変化は、本当に切実な問題ですよね。 (;´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-12-03 01:03) 

y-tanaka

おはようございます。
エチゼンクラゲ、現地の漁師の人にとっては死活問題になってます。
by y-tanaka (2009-12-03 05:25) 

おりおん星人18号

そのうち気軽に海で泳ぐことも出来なくなるかも…ですねぇ。。。。
by おりおん星人18号 (2009-12-03 11:11) 

たーチャン

エチゼンクラゲの出没が私たち人間に対する自然界からの警告のように思えます。
by たーチャン (2009-12-03 18:52) 

Loby

sorasoraさん、ご訪問&niceありがとうございます。

ともゆきさん、ご訪問&niceありがとうございます。

ゆかさん、ご訪問&niceありがとうございます。

ミスター・ピッチサイドさん、ご訪問&niceありがとうございます。

katsuyukiさん、ご訪問&niceありがとうございます。

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by Loby (2009-12-03 23:45) 

Loby

ayumuさん、まったくおっしゃる通りです。
”現在”だけの近眼的環境政策でなく”未来”を見据えた環境政策を実施して欲しいですね。。。
by Loby (2009-12-03 23:54) 

Loby

モッズパンツさん、環境変化は人間が自分で十分の首を絞めているようなものですね。自然からしっぺ返しをくらっているような感じです。
ひどいのは、それで巻き添えになるほかの動植物ですね。。。
by Loby (2009-12-04 00:09) 

Loby

t-tanakaさん、あれだけ大きく大量に網にひかかったら漁どころではありませんね。漁船が転覆したケースもあるとか(ーー;)
by Loby (2009-12-04 00:12) 

Loby

おりおんさん、次回は韓国まで泳いで行こうと思っていたかも知れないけど、これで計画見直し?
by Loby (2009-12-04 00:13) 

Loby

たーチャン、おっしゃるとおりだと思います。
宇宙は原因・結果の法則で貫かれており、種をまけば刈らなければならないのですよね。。。
by Loby (2009-12-04 00:17) 

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