火星旅行はストレス旅行? [宇宙のロマン]
欧州宇宙機関(ESA)が2004年3月2日にフランス領ギアナから打ち上げた彗星探査機「ロゼッタ」は、この13日、GMT時間で7時45分(日本時間午後4時45分)に地球に最接近しました。 これはスイングバイと呼ばれる、天体の引力を利用して加速、または減速をする宇宙航行技術を使うために地球に近づいたわけです。 ロゼッタ探査機はこれまでに地球で2回、火星で1回のスイングバイを行っており、4回目の今回が最後のスイングバイとなります。 これで目的の彗星「チュリュモフ・ゲラシメンコ」への最終軌道調整は終わったわけですが、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への到着は2014年の予定なので、なお5年間宇宙空間を航行し続けることになります。(発射の年から10年後です)
彗星は太陽系誕生当時の形骸を残していると考えられており、生命発生なのの謎を究明する手助けになるかも知れないため彗星の調査は重要なのだそうです。
地球に接近するロゼッタ探査機の想像イラスト
ロゼッタ探査機の動画←クリックすれば動画を観れます。
宇宙航行と言えば、月の次に人類が有人調査を計画しているのは火星です。
それについてはすでに先日、米国がアレスロケットとオリオン宇宙船を利用して2030年に人間を火星に送り込むことを計画しているとブログで書いたばかりですが、先週、こちらの週刊誌に火星旅行に関して少々気になる記事が出ていました。
それは、火星などへの宇宙旅行は長期にわたるため、宇宙飛行士の精神状態がおかしくなる可能性が増えるというのです。
宇宙飛行士は地上ではあらゆる(宇宙での)状態を想定して訓練を積んでいますが、ひとたび宇宙に出て長期間せまい宇宙船内で毎日毎日、同じ仲間の顔を見て暮らし、同じような生活をし続けるとストレスから普段では予想もできないような反応・行動をとるというのです
実際、ロシアのソユーズ7号では、211日間という長期宇宙滞在中に普段は仲の良かった宇宙飛行士たちが、お互いに顔も見たくないほど険悪な仲になりました。 また、1997年にミール宇宙ステーションにおいてロシアの宇宙飛行士が、ナビゲーション・システムの重要なケーブルをディスコネクト(外す)という大きなミスをおかしています。 これもストレス過多によるものだそうです
ロシアのソユーズ宇宙船
ミール宇宙ステーションにドッキングするスペースシャトル「アトランティス」
NASA(米)、ESA(欧州)それに Roscosmos(露)では、このような宇宙飛行士の精神異常状態をよりよく研究する目的で地上において長期の隔離実験を行っています。 これにより、近い将来に実施される太陽系内惑星間旅行への準備を進めているわけです。
この長期隔離テストで最近のものは、ESA(欧州宇宙機関)とロシア・バイオロジー研究所が共同でモスクワ市内に火星宇宙船を模して作られた隔離テストラボラトリーにフランス人飛行士とドイツ人技師を105日間閉じ込めたものですが、隔離テストが終了した時、被験者の二人とも限られた狭いスペースの中で生活することによって起こる強度のストレスを訴えました。 このような問題は国籍の違う飛行士間でも起こることが確認されており、たとえば2000年にやはりモスクワ市で行われた110日間におよぶ隔離テストでは8ヶ国の被験者が参加しましたが、その中のカナダ人女性はクルーのキャプテンであるロシア人が強制的にキスをしようとしたと非難していますし(セクハラ問題?)、同じクルーの中の二人のロシア人男性はストレスが最高潮に達したときに、おたがいに殴る蹴るなどの大喧嘩(!)まで起こしたとか...
モスクワの隔離テスト施設
しかしながらESAは来年にさらに長期、520日間におよぶ隔離テストを同じモスクワのテスト施設で行うことを発表しています。 これは隔離期間を火星までの往復に要する日数とほぼ同じ(2年半)にして、飛行士たちがどのような精神的問題を起こすかを研究するのが目的です。
また、火星への旅行では、これまでに宇宙飛行士たちが一度も体験したことのないストレスを火星調査宇宙船の乗組員たちは経験することになります。
それは窓から母星である「青い地球」が見えなくなる、という問題です。 これは宇宙飛行士たちをさらに強度のストレスにさらすものと考えられています。
宇宙船の窓から母なる星、地球が見えないことによる不安感は、沿岸航行のみをしていた帆船が広い大洋に出始めた時の乗組員の不安感と同じかも知れない
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』でも宇宙飛行士間の軋轢が描かれたが、実際の火星旅行では映画とは比較にならないほど大きな軋轢が起こる可能性がある
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』のシーン
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』の動画 けっこう面白い作品です^^
おまけ
竹とり物語は世界最古のSF作品だということを知っていましたか?
詳細は『メタモルフォセス群島』でどうぞ♪
彗星は太陽系誕生当時の形骸を残していると考えられており、生命発生なのの謎を究明する手助けになるかも知れないため彗星の調査は重要なのだそうです。
地球に接近するロゼッタ探査機の想像イラスト
ロゼッタ探査機の動画←クリックすれば動画を観れます。
宇宙航行と言えば、月の次に人類が有人調査を計画しているのは火星です。
それについてはすでに先日、米国がアレスロケットとオリオン宇宙船を利用して2030年に人間を火星に送り込むことを計画しているとブログで書いたばかりですが、先週、こちらの週刊誌に火星旅行に関して少々気になる記事が出ていました。
それは、火星などへの宇宙旅行は長期にわたるため、宇宙飛行士の精神状態がおかしくなる可能性が増えるというのです。
宇宙飛行士は地上ではあらゆる(宇宙での)状態を想定して訓練を積んでいますが、ひとたび宇宙に出て長期間せまい宇宙船内で毎日毎日、同じ仲間の顔を見て暮らし、同じような生活をし続けるとストレスから普段では予想もできないような反応・行動をとるというのです
実際、ロシアのソユーズ7号では、211日間という長期宇宙滞在中に普段は仲の良かった宇宙飛行士たちが、お互いに顔も見たくないほど険悪な仲になりました。 また、1997年にミール宇宙ステーションにおいてロシアの宇宙飛行士が、ナビゲーション・システムの重要なケーブルをディスコネクト(外す)という大きなミスをおかしています。 これもストレス過多によるものだそうです
ロシアのソユーズ宇宙船
ミール宇宙ステーションにドッキングするスペースシャトル「アトランティス」
NASA(米)、ESA(欧州)それに Roscosmos(露)では、このような宇宙飛行士の精神異常状態をよりよく研究する目的で地上において長期の隔離実験を行っています。 これにより、近い将来に実施される太陽系内惑星間旅行への準備を進めているわけです。
この長期隔離テストで最近のものは、ESA(欧州宇宙機関)とロシア・バイオロジー研究所が共同でモスクワ市内に火星宇宙船を模して作られた隔離テストラボラトリーにフランス人飛行士とドイツ人技師を105日間閉じ込めたものですが、隔離テストが終了した時、被験者の二人とも限られた狭いスペースの中で生活することによって起こる強度のストレスを訴えました。 このような問題は国籍の違う飛行士間でも起こることが確認されており、たとえば2000年にやはりモスクワ市で行われた110日間におよぶ隔離テストでは8ヶ国の被験者が参加しましたが、その中のカナダ人女性はクルーのキャプテンであるロシア人が強制的にキスをしようとしたと非難していますし(セクハラ問題?)、同じクルーの中の二人のロシア人男性はストレスが最高潮に達したときに、おたがいに殴る蹴るなどの大喧嘩(!)まで起こしたとか...
モスクワの隔離テスト施設
しかしながらESAは来年にさらに長期、520日間におよぶ隔離テストを同じモスクワのテスト施設で行うことを発表しています。 これは隔離期間を火星までの往復に要する日数とほぼ同じ(2年半)にして、飛行士たちがどのような精神的問題を起こすかを研究するのが目的です。
また、火星への旅行では、これまでに宇宙飛行士たちが一度も体験したことのないストレスを火星調査宇宙船の乗組員たちは経験することになります。
それは窓から母星である「青い地球」が見えなくなる、という問題です。 これは宇宙飛行士たちをさらに強度のストレスにさらすものと考えられています。
宇宙船の窓から母なる星、地球が見えないことによる不安感は、沿岸航行のみをしていた帆船が広い大洋に出始めた時の乗組員の不安感と同じかも知れない
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』でも宇宙飛行士間の軋轢が描かれたが、実際の火星旅行では映画とは比較にならないほど大きな軋轢が起こる可能性がある
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』のシーン
映画 『ミッション・トゥ・マーズ』の動画 けっこう面白い作品です^^
おまけ
竹とり物語は世界最古のSF作品だということを知っていましたか?
詳細は『メタモルフォセス群島』でどうぞ♪
2009-11-14 02:59
あしあと(11)
コメント(11)
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こんにちはww
へへへ^^
実は、宇宙船では無いのですが、コレと似たような体験をしておりますvv
仲の良かった友達と、ある日を境に、襖一枚隔てただけの部屋で生活することなり<速攻で険悪になりましたξ
by me-co (2009-11-14 14:34)
毎日毎日同じ顔ぶれの仲間と狭い空間に閉じ込められて生活する…
これって、老夫婦で殆ど外出もままならない生活になった時の状況に
似ていますね。
という事は、近い将来我が家も険悪な状況に陥り、
暴力騒ぎが起きるかも…怖い事になりそうです。
出かける事の大嫌いな連れ合い、要注意です。
ところで、竹取物語、確かに考えて見れば
古いSF作品ですが、世界最古ですか!知りませんでした。
by 青い鳥 (2009-11-14 17:02)
たいせいさん、ご訪問&niceありがとうございます。
miopapaさん、ご訪問&niceありがとうございます。
enosanさん、ご訪問&niceありがとうございます。
xml_xslさん、ご訪問&niceありがとうございます。
ともゆきさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by Loby (2009-11-14 21:18)
me-coさん、こんにちは。
おっ、me-coさんはすでに経験済み?
それじゃあ火星旅行の搭乗員になれる資格があるかも?
(険悪な状態になったあと仲直りしていれば、です ^^)
by Loby (2009-11-14 21:20)
青い鳥さん、こんばんは。
老夫婦ですか、う~む... それは考えなかったですね(゜ー゜)(。_。)ウンウン
その可能性もありますね。 でも今はいろいろ便利なものがありますし、ネット
という素晴らしい交流のツールもありますね。
竹取物語はあれほど深い意味があるとは知りませんでした。
私にもたいへん勉強になりました^^b
by Loby (2009-11-14 21:24)
そうそう。これは大きな課題といわれておりますね。やっぱりSF映画のように、冬眠みたいな方法とか必要かもしれませんね。w (^ω^)b
そういえば、シチュエーションは違いますが、潜水艦も似たような感じがありますね。指揮権の問題とかよく映画になっておりますね。w (´∀`)ノ
それにしても、訓練?実験?といえども、2年半もの長い間、外の社会の情報からシャットアウトされてしまうと、完全に浦島太郎になってしまいますね。まあ、それも面白いかもしれませんが。w (ノ∀`)アチャー
(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-11-15 00:49)
おはようございます。
技術の進歩はすごいですね、でも自然は大き過ぎます。
by y-tanaka (2009-11-15 06:43)
モッズパンツさん、限られた空間の中に閉じ込められると、人間だけでなくネズミでも犬でもストレスになりますよね。 それが一年にも二年にもなるというと...
想像もできません><
人口冬眠は理想的ですが、いまだに利用できるレベルまで行ってません。
凍結は...これも生き返らせる方法を見つけていません(ーー;)
by Loby (2009-11-15 11:19)
y-tanakaさん、おはようございます。
いくら技術が進歩しても超えることができない地平線というものがあるようですね。
by Loby (2009-11-15 11:21)
なるほど・・・。
人間って難しいですねぇ。
その構造はかなり複雑…。
by おりおん星人18号 (2009-11-17 13:18)
おりおんさん
人間は複雑ですよねェ。
あまり周囲に人がいすぎてもストレスになるし、いなくてもストレスに
なるし...
夫婦などが30年も40年もいっしょに暮らすっていうのも奇跡に近い><
by Loby (2009-11-18 04:35)