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薔薇の名前 [映画&DVD]

「ダ・ヴィンテイ・コード」にはまりついでに、同じく推理映画である「薔薇の名前」を同じくDVDを借りて観ました。
「薔薇の名前」は1986年に発表された作品で観た方もいると思いますが、ウンベルト・エーコ(イタリアの哲学者、小説家、ボローニャ大学教授)が1980年に発表した小説「薔薇の名前」の映画化です。

物語は中世のイタリアの修道院で起こった修道士連続殺人事件と、その事件の謎を追うフランシスコ会の修道士ウィリアム(ショーン・コネリー)とその弟子アドソ(クリスチャン・スレーター)の活躍を描く内容で、それにフランシスコ会派と教皇庁の清貧論争、ローマ皇帝と教皇の争い、異端裁判などが絡まってさらに物語を面白く(複雑)にしています。
  
                美しいカバーの「薔薇の名前」
バラの名前.jpg o_nome_da_rosa.jpg
               


            時代考証が素晴らしい映画「薔薇の名前」
     

また、作品の中ではキリスト教で禁書(希少本)としている本が物語の中で重要な役割をもっており、修道院の図書室で希少本の写本を作っているシーンがあり、芸術的な華麗な装飾本が映し出されますが、ジャン=ジャック・アノー監督がDVDのInformationでこの映画撮影についてコメントしている中でこの羊皮紙の装飾本について説明していることまたたいへん興味深いんですね。羊皮紙製の希少本の写本といっても金箔や宝石のカケラでページを装飾するという豪華なもので、数ページを製作するのになんと半年から一年かかるそうです  
そして、その貴重な豪華写本が、なんと頻繁に盗まれるのだそうです
ジャン=ジャック・アノー監督自身、「薔薇の名前」で撮影していたある豪華写本のページを修道院の図書室の机の上に保護の布をかぶせて置いて翌日に撮影を再開しようとしたら、そのページが紛失していたとコメントしています。
結局、同じページを製作するのに1年だかかかって、そのシーンは最後に撮る羽目になっちゃったらしいです

(豪華写本についてはこんなサイトがありますので興味ある方はご参考にしてくださいね)

             豪華写本の数々(雄松堂書店サイトより)
          
豪華写本1.jpg 豪華写本2.jpg
       
豪華写本4.jpg豪華写本3.jpg

最後に「薔薇の名前」とは何かについて、



この小説の原題は、イタリア語で「Il Nome della Rosa」で、英訳すると「The Name of the Rose」である。薔薇(rosa)にも名前(nome)にも定冠詞が付いている。小説は、その最後が、/stat rosa pristina nomine, nomina nuda tenemus./ というラテン語の詩句で終わっている。これはモーレーのベルナールの説教詩の一行で、小説の最後の部分では、ベルナールの詩の句が幾度も引用されている。 もっとも単純には、「薔薇の名前」とは、メルクのアドソの初恋の相手で、生涯の唯一の恋人となった、この小説の主要登場人物中でただ一人、名前が明記されていない農民の少女の名前のことだと解釈されている。しかし、最後の一行の詩句が、非常に多義的な意味を持つことから、様々な解釈が行われている。 ラテン語の詩句は、形式的に直訳すると、「以前の薔薇は名に留まり、私たちは裸の名を手にする」というような意味であるが、ベルナール自身の詩のなかで象徴的な意味を持っており、更に小説のなかでも、多義的象徴的意味を持っている(この詩は、ヨハン・ホイジンガの『中世の秋』に引用されており、ベルナールの詩の全体がどういうものかは、『中世の秋』の翻訳で知ることができる)。

「薔薇の名前」と普遍論争
エーコの小説のなかでは述べられていないが、フランシスコ会と教皇庁の争いは、フランシスコ会総長チェゼーナのミケーレ他幹部が、論争に決着を付けるためアヴィニョンを訪れるが、教皇庁側の対応に疑問を抱いた彼らが、一夜にしてアヴィニョンを逐電し、ドイツ(当時の神聖ローマ帝国領)へと逃れるに及んで最終的に決裂した。このとき、逃走した者のなかには、当時の普遍論争において、唯名論の側の立場に立つ筆頭の論客として知られた、オッカムのウィリアムも含まれていた(この後、教皇庁はミケーレを解任し、フランシスコ会に新しい総長を選出させ、結果、二人の総長が並立するという事態になる)。
オッカムのウィリアムは、論理思考における「オッカムの剃刀」で良く知られているように、近代合理的な思考、経験的科学的な認識論を指向していた。従って、オッカムのウィリアムが、またバスカヴィルのウィリアムのモデルだとも言える。
普遍論争とは中世に存在した、実在するのは何かという哲学議論で、簡単には、事物(レース)について、その類観念つまり類のエイドス(形相)が実在しているというのが、「実念論」の立場で、これに対し、オッカムのウィリアム等「唯名論」の立場では、実在するのは個々の事物(レース)であって、類の普遍観念つまりエイドスは、「名(nomen)」に過ぎないという考えであった。
この事物の類観念と個々の事物の関係を、「薔薇(rosa)」という事物または類観念で考えると、薔薇という類の普遍観念が実在するのか、または普遍観念つまりエイドスは「名前」に過ぎず、実在するのは個々の薔薇であるのか、ということになる。オッカムは後者の立場である。
「その薔薇のその名前(Il Nome della Rosa)」とは、「その名前」が普遍観念で実在か、「その薔薇」こそが具体的事物で実在で、「その名前」は形式に過ぎないのか。バスカヴィルのウィリアムは唯名論の立場で、後者である。しかしメルクのアドソは晩年に至って、師の教えに反し、「その名前」が実在である、つまり実念論の立場に転向した趣旨が小説の「最後の頁」で示唆されている。
/stat rosa pristina nomine, nomina nuda tenemus./ という小説最後のラテン語の詩句が、ここで中世の普遍論争の文脈に置かれることになる。また、時代錯誤であるが、作者エーコは、バスカヴィルのウィリアムに20世紀の分析哲学の思想に類似した内容を語らせており、ヴィトゲンシュタインの言葉の引用に似た表現が出てくる。分析哲学は、中世の普遍論争の問題を20世紀において継承した思想である。

エーコの小説の「枠」を外した事実上の「始まり」の部分は、「初めに(原初に)、言葉があった( In principio erat verbum.)」(『ヨハネ福音書』1章1節)であり、「最後」は、筆写室に手稿を残してアドソが部屋を後にするという説明であり、そして、最後の最後に、上のラテン語の詩句が置かれている。「原初の薔薇(rosa pristina)」とは何で、「裸の名前(nomina nuda)」とは何か、作品は、言葉と実在の関係をめぐり、記号と世界の秩序の関係をめぐり、壮大な「薔薇の名前」の物語を築いている。 (以上、Wikipediaより引用)






と難しい解釈がありますが、名前で頭をひねるより本を読むかDVDを見るほうが得です^^b



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あしあと 16

コメント 9

me-co

こっちの方面はからっきし???ですが、はまったら面白いんでしょうねぇ^^
by me-co (2009-10-27 00:22) 

Loby

y-tanakaさん、ご訪問&niceありがとうございます。


Krauseさん、ご訪問&niceありがとうございます。


xml_xslさん、ご訪問&niceありがとうございます。



by Loby (2009-10-27 08:33) 

Loby

me-coさん
推理小説って普段はあまり読まないのですよ><
ただ、「ダ・ヴィンチ・コード」が予想以上に面白くて、似たようなので
「薔薇...」があったなと思い出してDVDをレンタルして見ました^^
結構面白いですよ^^v
by Loby (2009-10-27 08:36) 

おりおん星人18号

『薔薇の名前』…!?
聞いたことない…観たことない…自称映画好きの私は早速調べましたぞよ@@
結構前の作品ですよね。全然分からん…(>_<)
だけど、映画内容を読むうちに…
見習修道士がクリスチャン・スレーターでしょう…なんだか観たような…観ないような…。。。
だけどやっぱり、観たような……、観ないような… ←いつまで続くんでしょう(-_-;)
気になるから観たいよぉ!
by おりおん星人18号 (2009-10-27 17:46) 

Loby

おりおん星人18号さん
映画好きのおりおん星人さんのことだから、おそらく観ていると思いますようん!(^^)
こつらではレンタルDVD屋さんにあるので、そちらでもあるのでは?
たしかにちょっと古いですけどね~><
DVDの付録(?)のジャン=ジャック・アノー監督のコメントが興味深いです^^b

by Loby (2009-10-27 19:14) 

モッズパンツ

観たような……、観ないような…。w
もしテレビでやっていたら、見たかもしれません。w (;^ω^)b
面白そうですねー。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-10-28 01:27) 

Loby

モッズパンツさん
こんばんは。
小説の方が面白そうですけど、ダン・ブラウンみたいに売れている小説家ではないのでおそらく本は見つからないでしょうね><
時代考証がすごい作品です^^v
by Loby (2009-10-28 07:46) 

青い鳥

遅ればせながらコメントを。
「薔薇の名前」、5年以上前でしょうか、
胸をどきどきさせながら読みました。
そのあと映画も見ました。
心にいつまでも残る作品です。
by 青い鳥 (2009-11-05 07:47) 

Loby

青い鳥さん
 ご訪問&niceありがとうございます。
 「薔薇の名前」は映画でも素晴らしいけど本はもっと素晴らしい
 でしょうね^^
 読書の楽しさは自分でシーンをいろいろ想像することですね♪

by Loby (2009-11-05 08:00) 

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