SSブログ

至言 [いい言葉]

 ある雑誌に、画家でありグラフィック・デザイナーの原田泰治さんの対談が載っていて、
その中で至言と思う文を見ましたのでご紹介します。


   人間というのは、追いつめられて、追いつめられて、
   本当に苦しい状況をくぐってくることで、力をつけるわけです
   心を結びつけるのは即効性のある化学肥料じゃなくて、堆肥。
   長い時間の中で培われていくものだよ。
   親子も夫婦もそう。
   心通じ合える特別な存在なんて、そう簡単に育つものじゃないですよ。



               rosas.jpg


さすがに幼少の頃より小児麻痺で両足が不自由な中、苦労しながらも努力をしてきた画壇、デザイナー界の巨匠の言葉だけありますね。
人間というものは、本当に井戸のどん底に落ちて他に助かる方法がないと観念した時に、普段では想像もできない凄い力と知恵を出して脱出することで大きな経験を積むんですよね。
それができない場合は井戸の底で死んでしまうほかないわけです。

2番目の人間関係に関する至言もまさしくその通りです。
“心通じ合える”関係というのは一朝一夕にできるものではないからこそ、普段から努力してでもこつこつと少しずつでもいいから築いていかなければならない。
でも、ただいっしょに長い時間をすごすだけでは何も変わらない。堆肥が堆肥となるためには、ただ有機物を堆積するだけではだめで、微生物による有機物の分解という見えない働きがなければ堆肥にならないように、親子、夫婦、友人といった人間関係も“思いやり”、“愛情”、“相互理解”、“利他精神”など目では見えないものの働きがなければうるわしい関係、心通じ合える関係というものは育たないのですよね。。。


同じ雑誌の『歴史に学ぶ 乱世を生き抜く知恵』という特集対談で、時代小説作家の松平定知さんが藤堂高虎の家訓の一つを紹介していますが、これもなかなか薀蓄があります。

 
  一生懸命仕えても、自分のよさがわからない主君だということがわかったら、
  そんな主君のもとでいつまでもうつらうつらしていてはだめだ。

                                         

ちなみに一生懸命とは、「一所懸命」が語源であり、昔の武士が先祖代々の土地を命がけで守ったことに由来しているそうです。

武士の生活の糧(米)は土地(領土)から得ていたので、土地を死に物狂いで守らなければ侵略者に奪い取られ野垂れ死にするしかなかったので、土地を守るということは生死にかかわっていたわけですね。

現在のサラリーマンは昔の武士と同じです。ただし守るのは土地ではなく、サラリーをくれる会社ですが、そのサラリーをくれる会社(の上司)が、自分がいくら努力してもまったく仕事を認めてくれないのであれば、いさぎよく見切って他の会社を探すべきだと藤堂高虎は教訓しているわけですね。

私も過去に同じような経験が多少ともありましたので、この藤堂高虎の教訓は身にしみます。



あしあと(9)  コメント(0)  トラックバック(0) 

あしあと 9

コメント 0

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。